作成:2003・02・23

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


SMCフィシュアイタクマー 17mmF4 の思い出


全長が短く前玉の曲率も緩やかで魚眼レンズらしくありません

 ニコンは、古くからたくさんの全周魚眼レンズを作りましたが、主に学術研究目的でした。アサヒは、一般撮影に適した対角魚眼レンズを作りました。18mmF11です。しかし、一般撮影に対角魚眼レンズが使えることを認識させ、カメラ雑誌の月例に対角魚眼レンズで撮影した作品を溢れさせたのは、1967年12月発売のフィシュアイタクマー 17mmF4ではないでしょうか。このレンズにマルチコーテングを施し、開放測光連動機構を追加したのがSMCフィシュアイタクマー 17mmF4です。

 私は、超広角レンズの作るパースの芸に心酔していて、シグマ18mmF3.5ばかり使っていました。ここ数年なのですが、対角魚眼レンズのディストーションの魅力、丸い構図に惹かれるようになってきました。
 欲しいなぁと思っているうちに、このレンズの中古価格は、ネットオークションでも高騰して手を出しづらい価格になっていましたが、最近は落ち着きを取り戻し、やっと、オリジナルのキャップ類・ケース付きの美品にもかかわらず、ロシア製魚眼レンズなみのお代で譲って頂くことが出来ましました。

 

 SMCフィシュアイタクマー 17mmF4 の印象


 まず、SMCタクマーレンズには珍しく、現在も通用する写りなのに驚きました。とは云え、現在、対角魚眼レンズでも特殊レンズという認識で、この手のレンズは進歩どころかすたれつつあるので、比較する対象がけっこうオールドレンズになってしまうということもあります。
 写りは、高コントラストでなかなか鮮明です。マルチコーティングの効果絶大で、太陽が入ってもゴーストは控えめで、フレアによるコントラスト低下も感じません。画角が180°ですから、晴れた日の風景の発色も派手といより強烈です。

 実害はあまりありませんが、ちょっと残念なのは、内蔵フィルタに素通しが無いことで、UVフィルタが必ず効いてしまうことです。明るさはF2.8があたりまえという時代が長かったので、F4はちょっと物足りない気がします。開放では、構図によって四隅の描写が若干気になる時もありますが、描写性能は合格だと思います。

 明るさがF2.8のこの手のレンズは、長さはしっかりあります。このレンズは、厚みが31.5mmで、重さが230gですので、パンケーキとは云えませんが、今川焼ぐらいの感じです。ボディに装着して手にしてみると、かえって新鮮な気がします。

 対角魚眼レンズの極端なデストーションも、案外と自然に見えることがあります。対角魚眼レンズは一般撮影に使うものであることを、もう一度再認識しましょう。


 

 系譜


 フィシュアイタクマー 17mmF4は、3万円弱の手ごろな価格にもかかわらず、F4という当時世界で一番明るい魚眼レンズで、20cmまで寄れるヘリコイドによるフォーカシング機能を備え、ミラーアップ不要、自動絞り、内蔵フィルター装備と意欲的です。今思えば、あたりまえの魚眼レンズの仕様なのですが、一世を風靡しただけあって、その後のスタンダードとなった必要条件を備えていることが判ります。
 内蔵フィルターは、UV、Y2、O2ですが、さらに、後部にゼラチンフィルター用フォルダーを備えています。

 1972年に、SMCフィシュアイタクマー 17mmF4に更新され、さらに、開放測光連動機構とマルチコーティングを施したものです。
 他社も、このころから、一般撮影向きの対角魚眼レンズを交換レンズのラインナップに加えるようになりましたが、かなり高価な設定でした。シグマ製でも12mmF8で3万円、74年発売の16mmF2.8は4万円もするのでびっくりしました。

 17mmF4はKマウントになるときに、素通しの内蔵フィルターの追加と周辺画質改善を施されて続投し、A16mmF2.8の登板まで頑張りました。現在はおなじみのAF魚眼ズームが意外と人気があるようです。



 
ゼラチンフィルター用フォルダー

 その他


 フィシュアイタクマー 17mmF4は、専用のキャップ付であることが謳われています。しかし、今回のSMCフィシュアイタクマー 17mmF4 にはフィルタ径58mmのレンズ用の汎用のキャップが付いていました。もう少し深ければとは思いますが、変形がなければ、かろうじて当たることはなく問題ありません。
 前の持ち主に伺ったのですが、無くしたり取り違えたりしたことはなく、購入時からこの汎用のキャップが付いていたそうです。どこかで、原価低減のために、この汎用のキャップを使うようになっていたのだと思います。


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 このレンズには、固定フードがありません。このレンズでブローニー版のフィルムに写すと全周魚眼像が写ります。これは、けっこうやっている人がいます。レジューサで径23mmぐらいの像に縮小してベッサLで撮影する。どちらか、ぜひやってみたいと思います。




 

 
   

 更新日 : 2018・11・25.