作成:2000・02・22

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


SMCタクマー 15mmF3.5 の思い出

 15mmF3.5という焦点距離と明るさ、軸外収差の低減のための非球面レンズ採用という特徴に魅せられて、このレンズの付くボディも持っていないのに、1976年3月に西巣鴨の下宿近くの写真店で、標準価格8万5千円のところ6万5千円で求めたものです。当時の愛機は、コニカFTAであり、アダプタを介してマニュアル絞りでの撮影となるため、ほとんど使用していませんでした。撮影よりも、もっぱら一六銀行を往復して貧乏学生の生活を助けてくれた恩義のある友だちです。
 卒業後は死蔵していましたが、93年春に若干のカビが発生しました。友だちの一大事、すぐに清掃に出しました。以後、今までの不義理を反省し、ES
IIの常用レンズとして使用しており、寄る年なみには勝てず(私もですが)外観は多少くたびれてきています。とくに紙製の専用ケースは見る影もありません。

 

 SMCタクマー 15mmF3.5 の印象


 本来は、F8まで絞って使うのがベストでしょう。周辺光量への口径食の影響がなくなり、描写も一段とクリアになります。しかし、構図にもよりますが、広角レンズ特有の遠近感の誇張だけでなく、開放での素直なボケによる視覚的な奥行表現も気に入っています。
 遠くの直線の歪曲収差はまずまずですが、近くの直線ほどタル型が目立つようになり、象面歪曲も大きくなることが残念な点です。
 しかし、フローティング機構を採用せず寄りを30cmまでとした割り切りは、価格とフィルタの内臓を考えれば、このレンズの見識だと言うこともできます。

 ペンタックス15mmF3.5は、非球面レンズは使用していないがF8まで絞れば、タクマー15mmF3.5と差は無くなるという記事を読んだ記憶があるので、当時の出版物のバックナンバーを調べたのですが、捜しあてることはできませんでした。(実際、四隅のほうに点光源が写り込むような図柄では、ペンタックス15mmでは開放からF5.6程度までコマ収差のにじみが現れますが、このタクマー15mmのコマ収差はよく低減されています)
以前の考察 → ここ

 当時の各誌の記事によると、SMCタクマー15mmF3.5は、ズーム45〜125mmF4とともに74年のフォトキナで発表されています。(当時の記事に掲載の写真では、内蔵フィルタは4種類で素通しフィルタが無いようです)
 新発売の記事や広告宣伝も控えめに世に出たようです。その後SMCタクマー15mmF3.5も非球面レンズを使用しないモデル(後期型)に切替わり70年代末までカタログに掲載されていました。すごいことにペンタックス15mmは、まだ現役でカタログに掲載されているのはご存知の通りです。

 

 SMCタクマー 15mmF3.5 の謎


謎-1
 当時のニツコール15mmF5.6や後から出たデイスタゴン15mmF3.5と比較すると廉価ですが、低廉で信頼性が高い一眼レフを普及することを身上としてきたペンタックスのタクマーレンズのなかではかなり高価です。Kマウントシステムが誕生する直前に、このように先進的で複雑な構成のレンズをタクマーレンズにラインアップした事情を知りたいところです。

謎-2
 F8まで絞ると、深い被写界深度を活かしたパンフォーカス撮影ができます。取扱説明書(7503C版)ではスナップマークの利用を奨めているのですが、実際はありません。Kマウントのペンタックス15mmF3.5になってもスナップマークはありません。忘れているわけではないでしょうが・・・。

 SMCタクマー15mmF3.5の紹介記事は少ないのですが、クラシックカメラVol.39が出たときは、たっぷり1ページあってうれしくなってしまいました。筆者の猫洞さんは非球面レンズを使用した初期型の識別法をそっと教えて欲しいとお書きになられているので、私なりに推理した結果を読者のページに報告しようとしました。
 恥ずかしながら、ここで述べたレンズ構成の違いのほかに、コマ収差(外側に光がにじみます)の出具合で判断する怪しげな方法や、モデルNo.による考察(独断と偏見の思い込み)まで書いたためごみ箱に直行?
 そして、このモデルNo.と絞り込みレバーの刻印(ここではプロダクトナンバーと言っています)の関連に疑問を抱いたのが、このホームページを立ち上げたきっかけでした。
 私自身このレンズには多少なりとも思い入れがあり、このページは、すこし他のページと構成が異なってしまいました。ご容赦ください。

 SMCタクマー15mmF3.5の発売を知って予約して買ったという方が、ヤフーオークションにこのレンズを出品したので質問させて頂きまきました。絞り込みレバーの刻印は44002で、シリアルナンバーは73*****なのだそうです。その他に、77ではじまるものと80で始まる物があるのだそうですが、ここに掲載のレンズは80で始まるものです。
 このレンズの清掃を依頼したときの伝票には、工場送りと記入されていました。サービスセンターでプロダクト(コード)ナンバーを見てマニュアルに従って作業する必要はないので、初期型も後期型も同じ番号でも不都合は生じなかったのでしょう。

 また、このホームページの掲示板に投稿頂いた方の指摘では、15mmF3.5は全面設計変更ではなく一部要素のみの設計変更というのが定説で、一部要素の曲率の違いはその方もご確認済みだそうです。やはり、15mmF3.5と28mmF2はアサヒとツァイスの仮技提時代の産物でした。

 


 

 
   

 更新日 : 2004・11・08.