作成:2021・02・07
お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。
HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED の歪曲補正(その1)
SMCペンタックス FISH EYE 17mmF4の魚眼画像を「uonome」で広角画像に変換することが出来たので、もっと焦点距離が短い魚眼レンズでも試したい。許してけろ、HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 EDが格安だったので、できごころで手を出してしまいました。
早速、K-1にHD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 EDを付け、フルサイズでサンプルを撮影し、uonome補正をしてみました。 このソフトの使い方ですが、一連の操作の流れは、uonomeを起動したら、ファイルを開き、ファイルを保存して終了となります。ここでは、魚眼画像と同じ焦点距離の広角画像を得るという方針で uonome補正を試みます。 |
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ドロップダウンメニューの左は、魚眼画像をノーマル画像にする「IHVERTED FISHEYE CONV」を、右は、補間方法としてバイリニア「BILNEAR」かバイキュービック「BICUBIC」を選択します。正直なところ差は解りませんが、画質優先なら「BICUBIC」が無難かと思います。
バイキュービック補間の「ALPHA_BC」はシャープネスに関連するパラメータだそうですが、デフォルトの-0.75のままで良いようです。 ガンマカーブ「GAMMA_S」明るさ「GAIN_S」の調整は、デフォルトのままにしています。 最初は、「CROP_H_VAL」「CROP_V_VAL」は、左にスライドし 0 にしておきます。 ただし、「RAD_FISH_VAL」「DIST_FISH_VAL」「CROP_H_VAL」「CROP_V_VAL」は、調節したことのある焦点距離(画角)ならば、同じ値で設定しておきましょう。 |
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「LOAD SOURCE IMAGE」ボタンをクリックして目的のファイルを開きます。
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使ったことのない焦点距離で「RAD_FISH_VAL」「DIST_FISH_VAL」「CROP_H_VAL」「CROP_V_VAL」のパラメータを決定するための手順です。
歪曲補正は「RAD_FISH_VAL」で調節します。最も大事な調節項目で、クリチカルな調節になります。 スライダを左に動かしてこの数値を減らすと糸巻き型に歪んで周辺の画像は大きくなります。右に動かして数値を増やすと樽型に歪んで周辺の画像は小さくなります。 写真の中の直線が、糸巻き型にも樽型にもならない数値に調節します。 「DIST_FISH_VAL」は、スライダを左に動かして、この数値を減らすと表示される画像は小さくなり、右に動かして数値を増やすと大きくなりますの。作業中は見やすい大きさでも、最終的には、画像の中心が元の魚眼画像と同じ大きさが目安です。「DIST_FISH_VAL」値を変えてセーブして、同じ大きさに近いファイルを選びます。 画像をクロップするパラメータの「CROP_H_VAL」と「CROP_V_VAL」がいずれも 0 だと、画面サイズの比率は 3;2 になり、画面サイズも元の魚眼画像と同じです。 「RAD_FISH_VAL」も「DIST_FISH_VAL」も段階的な数値の調節なので、完全な補正は難しいと思います。 ほぼ満足したら良しとし、細かな修正が必要なら画像ソフトに引き継ぎます。 |
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「SAVE IMAGE」をクリックし、ファイル名を入力してファイルを保存します。
ファイルを保存する時に、単純にファイル名だけだと「tif」形式になってしまうので「ファイル名.jpg」と拡張子まで入力します。(.pngも可) 調節したことのない焦点距離の場合、保存したファイルの画面サイズの比率を確認します。 横長の画面サイズの場合は、比率が3:2になるように、水平方向を「CROP_H_VAL」でクロップします。 横が短い場合は、「DIST_FISH_VAL」の数値を下げて、再度やり直します。 |
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問題がなければ、「EXET」をクリックしてuonomeを終了します。
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既に調節したことがあり、撮影レンズの焦点距離に対応したパラメータが既知の場合、次からは同じパラメータを設定してファイルを開くだけです。縦アングルの写真は、いったん横アングルに回転してからuonome処理をしましょう。
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こうして出来た広角レンズの画像ですが、部分拡大画像で中央部をみると「DIST_FISH_VAL」が0.34だとやや小さく、0.35だと若干大き目です。どちらも、ほぼ同じで、焦点距離が10mm級の超広角レンズ画像が得られました。シャープネスもまずまずです。
同様に、画面情報で焦点距離 11mmと14mmの画像も uonome処理してみました。参考に、その時のパラメータだけを示します。(11mmでなく、12mmで撮影したつもりだったのですが) ・焦点距離 11mm:「RAD_FISH_VAL」0.42、「DIST_FISH_VAL」0.39、「CROP_H_VAL」0、「CROP_V_VAL」0 ・焦点距離 14mm:「RAD_FISH_VAL」0.50、「DIST_FISH_VAL」0.48、「CROP_H_VAL」0、「CROP_V_VAL」0 ここまでで、お気づきと思いますが、「DIST_FISH_VAL」を小さく設定すれば、焦点距離 10mmで撮影した魚眼画像から より広角(例えば8mm相当)の画像が作れるのです。しかし周囲画像が見るに耐えられるか次第で、比較するレンズも持ち合わせていません...最初の方針から外れてしまいますが。 ともあれ、できた写真の歪曲は完璧な直線にならず、陣笠歪み(陣笠収差)が残り、とても古いレトロフォーカス広角レンズの趣です。周辺光量が落ちないので、嫌味にならない程度に周辺光量を下げるとリアリティは完璧かと思います。陣笠歪みの改善は、Silkypixにバトンタッチです。 |
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Silkypixでとりあえず陣笠歪み補正をしてみた結果です。歪曲が少し残っていますが、より自然な感じになったかと思います。なお、周辺光量を落とすのは見送りました。
「uonome」のパラメータの「RAD_FISH_VAL」と「DIST_FISH_VAL」は、断続的で思ったような中間値にならないところがあります。また、「uonome」には、それなりのPCのマシンパワーが要求されます。今回は、限界なので少しサイズを縮小してからuonome処理をしました。 |
HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 EDの魚眼レンズ画像を「uonome」で同程度の焦点距離の広角レンズ画像に変換することが出来たので、もっと焦点距離が短い広角レンズ画像にできないか試してみました。上と同じフルサイズのサンプル魚眼画像を使用しました。
画面の中の直線が、糸巻き型にも樽型にもならないよう、uonome のパラメータ「RAD_FISH_VAL」で歪曲補正の調節をしますが、たいへんクリチカルな調節だけでなく、断続的で思ったような値がないところがあります。パラメータ「RAD_FISH_VAL」が0.35と次の0.38の画像を下に示しますが、ベストなパラメータはこの間にあるようです。 なお、パラメータの「CROP_H_VAL」で水平方向をクロップし、「DIST_FISH_VAL」で垂直方向をクロップできますが、いずれも 0 にしておくと、画面サイズは元画像のままで、縦横比率は2:3に保たれ、クロップすることによる画質の低下を防ぐことができます。 |
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魚眼画像の中央部は縮小されますが、周囲は、ディテールの乱れも拡大されます。「RAD_FISH_VAL」0.38 のほうが、周囲の流れ具合が少ないので、こちらを試してみます。
まず、パラメータの「RAD_FISH_VAL」を0.38「DIST_FISH_VAL」を0.29としてみましたが、ともに、もう少し小さくしたいところです。樽型になってしまいますが、思ったような値に設定できないので Silkypixの歪曲補正を行いました。Silkypixの歪曲補正後の魚眼画像と比較すると、約90%になっているので、焦点距離がほぼ 9mm相当の広角画像になったかと思います。(詳細は省略します) もう少しと思い、パラメータの「DIST_FISH_VAL」を0.26としてみました。歪曲は、さらに極端な樽型になってしまいますので、Silkypixの歪曲補正は、歪曲率でを強めて一度だけ行いました。 HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 EDは現実の魚眼レンズなので、必ずしも隅々まで同じ射影方式になっておらず、それが個性なので仕方ありません。対して「uonome」は、同じ射影方式で補正するので、陣笠収差が発生すると理解できます。そこで、Silkypixの歪曲補正を試行錯誤して、妥協することになります。かえって、この様な歪曲が少し残ったほうがリアリティが感じられるかもしれません。 中央部の拡大画像を、魚眼画像と比較すると、約80%ないので、焦点距離は、ほぼ8mm相当の広角画像になっていると信じます。 もう一度のSilkypixの歪曲補正で、陣笠収差を直線に補正したいところですが、今回は省略します。 |
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こうして出来た広角レンズの画像ですが、中央部のシャープネスはまずまずですが、隅のシャープネスは少し不満が残ります。
拡大してみると、周囲は盛大に色ズレしています。画像情報では絞りはF11なので、軸上色収差の影響はないはずなので、パープルフリンジと思い、Slkypixでフリンジ補正をしてみましたがさっぱり効果がありません。ところが倍率色収差の補正をしたところ消えました。確かに、周囲は端に行くほど色ズレが拡大されています。 |
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先代のsmc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED [IF] から倍率色収差が指摘されていましたが、魚眼画像の歪曲補正で周囲が拡大されることで、倍率色収差が露呈したようです。この倍率色収差は、ズーミングの焦点距離によって程度は変わるようでです。HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 EDの想定外の使い方で判った事象です。
そこで、Slkypixの倍率色収差を補正します。Slkypixの倍率色収差の補正は魚眼画像の段階から行いました。 |
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作業の途中は、同じなので省略させて頂きます。わずかに、締まった感じにはなりますが、周辺のシャープネスはまだ甘くて、焦点距離が 8mm相当となると、ピクセル等倍は無理があります。やはり撮影した時の焦点距離程度に留めるのが無難かと思います。
本題ではありませんが、最後にSilkypixのシェーディング補正で周辺光量を落としてみました。四隅の急激な光量の低下で、古い超広角レンズの趣です。焦点距離が10mm以下の超広角画像は馴染みがありません。こげな感じかなぁということで、許してけろ。 |
続きを作成していて飽きました ...HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 EDの歪曲補正にこだわらなくてもよい画像を観て頂きます。2月4日の紅寒桜です。魚眼画像に太陽が入ってもさすがHDコーテング。 |
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最初の魚眼ズームは、1994年登場の smc PENTAX-F Fish-Eye zoom 17-28mmF3.5-4.5 で、2005年末にAPS-Cサイズ用の smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED [IF] が発売されました。トキナー AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5 とは兄弟で、トキナー AT-X 107は、海外の愛好家向けにレンズフードが無いタイプも生産されました。
2019年7月に HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED は、リニューアルして登場し、レンズフードが着脱でるようになりました。その他にHDコーティングなどが謳われています。 どうせなら、後発他社の魚眼ズームのように全周魚眼像が欠けないよう、ワイド側をフォーサーズサイズで対角魚眼になるようにしたほうが良さげですが、中版(43.8mm×32.9mm)なら全周魚眼で写し込めますので、このままで良いと思います。 先代や、トキナー AT-X 107と同じで、8群10枚でEDレンズが1枚使われています。最小絞りはF22-32で、絞り羽根枚数は6枚です。最短撮影距離も 0.14m と、変更はありません。先代も同様ですが、AFカプラーで駆動するKAFマウントで、マニュアルで微調整ができます。DAレンズなので、絞りリングはありません。なので、LXなどのマニュアルのフィルムカメラで使うことはできません。 フィッシュアイズームレンズの起源が、PENTAX本家のHPに掲載されているのですが、初代の smc PENTAX-F Fish-Eye zoom 17-28mmF3.5-4.5 は、“超広角ズームレンズを魚眼レンズとして開発する”という着想で開発されたそうです。何故なら、魚眼レンズなら、歪曲収差を補正しなくて良い。歪曲収差によって広大な画角を得られるのでさほど焦点距離を短くする必要がない。周辺光量低下を軽減できる...とか。まさに、要るなら魚眼画像を広角画像に変換すれば良し、という誘惑です。そこそこの明るさのコンパクトな超広角ズームレンズになるのです。問題は、シャープネスで、見るに耐える写真になるかですが、とりあえず満足しました。 からあげ さん作の「uonome」は フリーソフトです。最後ですが、改めて深謝申し上げます。 |
余 談
本当は、Sony α7RII とTECHART LM-EA7を使ったら、初代のスーパーワイドヘリアーかカラースコパーが欲しいかなぁと思っていたのですが、PENTAXとの絆は断ち切れませんでした。 専攻科のページ「レンズマウントアダプターあそびの入口 Sony α7でタクマーレンズを使う」もお目通しください。 初歩的な話で恐縮です。SuperA、SFX/SF7なら、自動露光では、絞りリングは要らないのです。マニュアルで絞りを設定するのに、MZシリーズでは絞りリングを使いました。判りやすくてとても有りがたかったです。Zシリーズではボディ側のダイアルも使えました。でも、結局は、AFボディのユーザーは、慣れると絞りリングが無くても困らなくなりました。昔のまま絞りリングが付いたFAレンズは、まだありますが、風前の灯火です。 DAレンズはAPS-Cサイズのレンズで、AFマウントは、KAF、KAF1、KAF2、KAF4ですが、DAレンズには、ボディAF対応のKAFマウントが多数採用されています。でも、マニュアルの絞りリングはありません。なお、KAF4マウントレンズは絞り込み連動レバーがなく、DAレンズ対応のKマウントアダプターは使えないようです。本家HP掲載の「マウント別機能対応表」を参照ください。 2012年登場のK-01は、APS-Cサイズのミラーレス一眼です。だから何なの... |
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OLYMPUSは行けるところに行き着いて E-M1 MarkII (ファームウェア Ver.2.0) と M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO との組み合わせに驚きましました。撮影時に超広角レンズのように、100°114°123°の「フィッシュアイ補正撮影」ができてしまいます。ライブビュー像で、効果を見ながら撮影することができるそうです。 行けるところを行きすぎているのは、360度画像が撮影できるRICOH THETA です。2014年から毎年のように新モデルが登場し、現在のハイエンドモデルは、THETA Z1 です。若い時のように足腰が健在なら、正直いって欲し〜いです。楽しい動画が本筋なのですが、円周魚眼像は裏と表の2枚を合成するので、好きななアングルでの魚眼画像が得られ、フィッシュアイ補正もできます。このまま進歩すると、静止画(写真)でも、魚眼レンズや超広角レンズの出る幕は無くなります。 業務用、産業用やセキュリティ用途では、もっと画素数や、暗所撮影能力なども要求されるでしょうから、今後の進歩が楽しみです。 |