作成:2021・01・11


お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


 

 8.SMCタクマー 150mmF4 とテレタクマー 200mmF5.6


SMCタクマー 150mmF4 とテレタクマー 200mmF5.6
背景の半断面図は拾い物ですが教典の研究本にも掲載されています
 
 TECHART LM-EA7の取扱説明書では、焦点距離が135mmを超えるレンズを使用する場合は、三脚の使用を勧めています。そもそも、LM-EA7の繰出し量は4.5mmですから、望遠レンズをAFで使うご利益はほとんどありません。
 軽量でコンパクトなSMCタクマー 150mmF4 とテレタクマー 200mmF5.6は、望遠レンズでも重量の制約の500g以下の制約を満足する稀な存在です。ものは試しでLM-EA7に付けてみました。

 どちらのレンズも、シャープネスは、そこそこよいと言われています。150mmF4は、色収差を指摘する声もあります。正直なところ、SMCタクマー 150mmF4 とテレタクマー 200mmF5.6は、なかなかタクマー度が感じられないので、あまり気に入ったレンズではありませんでした。200mmF5.6は、フィルムカメラでは、暗くてピント合わせ、手振れに悩まされます。

 スーパータクマー 150mmF4は1965年の登場で、1967年に後期型に交代した後、1971年からSMCタクマー 150mmF4が継投します。スーパータクマー 150mmF4の前期型と後期型の違いは研究本にあるのですが、後群のレンズエレメントが少し大きくなり重量が少し増えました。レンズ構成は5群5枚で、コンパクトさが当時の謳い文句でした。
 1958年登場のタクマー 200mmF5.6が1962年にテレタクマー 200mmF5.6に名称が変わり、カタログ上は1971年まで掲載されていました。レンズ構成は5群5枚で、370gと軽量なのが特徴です。レンズの描写に関する世間の評判は上々です。


 

SMCタクマー 150mmF4の試写



SMCタクマー 150mmF4 試写


ピクセル等倍画像 (部分)
 
 後群は凹レンズで全長を短縮したテレフォットタイプに分類される5群5枚のレンズ構成です。
 世間の評判は良いので、この個体がたまたまハズレなのか判りません。絞り解放で撮影した画像を拡大すると、最四隅の画像が少し流れており、軸上色収差も顕著で輪郭が滲むので、本来のシャープネスが台無しになっていて残念です。
 このような風景の撮影は苦手ですが、ボケが豊かで、近接撮影の植物のとろけるような表現は得意です。逆光でフレアが発生することがありますが、今はフードしか手はありません。

 

テレタクマー 200mmF5.6の試写



テレタクマー 200mmF5.6 試写



ピクセル等倍画像 (部分)

 実は、この写真は、わずかな手ブレがありますが、それでもシャープネスは、まずまずで、整った諧調のよい描写をするレンズだと思います。倍率色収差と軸上色収差はどちらも顕著ですが、コマ収差と二線ボケは判りません。

 逆光だと、フレアが発生することがありますが、絞りの後ろなので、レンズ清掃をする機会にでも植毛紙を貼ってみたいと思います。
 今回は、AFでピントを合わせていますが、フォーカスインデイケータは頼りになりません。やはり、ピント拡大してMFでピント調節すべきで、200mm望遠レンズは、LM-EA7の守備範囲外でした。
 
 TECHART LM-EA7の繰出し量では、焦点距離が150mmでは最短撮影距離は5.7m程度、200mmでは9.8m程度になり、遠景でない限り、いつもヘリコイドでピント位置を探すことになります。あえて半押しAFでピント合わせする場合、SMCタクマー 150mmF4は開放からF5.6程度まで、テレタクマー 200mmF5.6は開放のみなので、実質的に半押しAFは使えません。あえてLM-EA7を使ってメリットのあるレンズとは言えません。

 どちらのレンズも、同じフィルタ径49mmのレンズですが、自動絞りのSMCタクマー 150mmF4の絞り羽根枚数は6枚、プリセット絞りのテレタクマー 200mmF5.6の絞り羽根枚数は10枚です。ボケを重視するなら、200mmF3.5の絞り羽根枚数18枚を試してみたいところです。いずれも、長い鏡胴ですから、艶消し塗装の劣化によるフレアは要チェックです。

 

このα7RII (FW Ver.4.00)とLM-EA7(FW Ver.6.0)での動作なので、記載内容が再現しない場合はご容赦ください。このレンズを取付ける中間アダプターは、Sマウントレンズなので YIYO M42-Mマウントアダプターを使用しています。
 

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   更新日 : 2021・01・11.