作成:2002・10・23

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


SMCマクロタクマー 100mmF4 の思い出


ズームと同じ目の細かなゴム巻きヘリコイドのレンズ

 ベローズは昔の各社の一眼レフシステムに欠かさずラインアップされていました。アサヒは、接写目的のアクセサリーがたいへん充実していて、本格型と簡易型のベローズだけでなく、ベローズ専用レンズのベローズタクマーやクオーツタクマーまでそろえてありました。しかし、一般の素人カメラマンが持っているのは接写リングや簡易型ベローズまででした。
 簡易型ベローズは剛性がいまいちで、レンズの重みで光軸が傾いたり、ブレやすいというのが泣き所で、135mmF3.5などは無理です。簡易型ベローズは72年ごろにはカタログから消えてしまいました。

 SMCマクロタクマー100mmF4は、ベローズタクマー100mmF4に0.5倍まで寄れるヘリコイドと、開放測光連動の絞りを与え、マルチコーティングを施して、1972年12月に発売されました。この意義は、それまで50〜60mmが常識だったマクロレンズに、100mmのマクロレンズを加え、接写におけるワーキングディスタンスの確保ということの大事さを一般に認識させたことだと思います。
 当時の初心者の私には、このような焦点距離のマクロレンズの必要性が理解できず、漠然と、少し暗いが、一般撮影でも解像力がすばらしく良いに違いない中望遠レンズという誤解をしていました。そんなものは、ずっと後の時代にならないと登場しません。

 なぜか、このレンズの中古価格は高騰しています。もう少し安くならないものかと思っているうちに、どんどん高くなって買う気が萎えてしまいました。やっとネットオークションで譲って頂いたものは、オリジナルのフード・キャップ類・ケース付きの美品ですから1万1千円で納得しました。特にケースは紙製ではなく革製できれいなものでした。バックキャップも現行のものに比べつばの小さなものです。ということから、初期の製品のようです

 

 SMCタクマー 100mmF4 の印象


 デストーション0.1%以下、ヘリコイドは45cmまで寄れて0.5倍撮影が可能というのが特徴です。写りの評価は難しいところで、マクロ域と一般撮影、開放と小絞りで話が違います。

 マクロ域の撮影では、解像度こそ高く感じませんが、雰囲気はタクマーに恥じないもので、コントラスト、質感の描写も良好なしっかりした写真が得られます。
 一般撮影では二線ボケが気になるところで、絞りや背景には注意が必要です。はっきり言って、あまりきれいな描写じゃありません。
 マクロ域、一般撮影とも、最小絞り近くで使えば高コントラストで鮮明な写真が撮れます。しかし、ちょっと味気ない描写で、質感の描写は諦めざる得ません。
 
 一言で言えば、マクロ域では味・色艶・香りとも良好ですが、一般撮影には、賞味期限切れです。それがまたたまらないと言える方だけにお勧め致します。


 

 系譜


 1972年発売ですから、プリセット絞りのマクロタクマー100mmF4や、自動絞りのスーパーマクロタクマー100mmF4は存在しません。
 Kマウントになっても続投し、フィルタ径52mmのKPレンズ、フィルタ径49mmのKM、KAレンズと頑張りました。継投はF2.8のレンズですが、AFが一般化した時代の高価なMFレンズで普及しませんでした。




SMCマクロタクマー100mmF4とベローズタクマー100mmF4

 

 その他


 SMCマクロタクマー100mmF4のフードは100mmF4・105mmF2.8・120mmF2.8兼用のフードではなく、専用のものが付いていました。兼用型はサイズが小さく、レンズに逆に被せて収納出来ないので、一回り大きい専用型が準備されたようです。



 ちなみに、兼用型フードの「100mmF4」はベローズタクマーのことで、SMCベローズタクマー100mmF4には兼用型が付いていました。
 ということは、このマクロタクマー用のフードを単体で入手するのはかなり困難で、レンズにフード付いているか否かは中古品を買う場合の重要なチェック項目となるでしょう。



ペンタックスファミリー20(1973年4月)に、このレンズの紹介があります。紹介されている作例はマクロレンズらしく絞り込んで撮影されたものばかりです。
 撮影に使ってみようという場合、私は、草木の葉の生気をそれなりに描写するかを試写してみて判断します。経験的に、みかけのコントラストや鮮明さではごまかすことの出来ない被写体だと思っています。しかし、それが可能なのは、春から夏。本格的な試写は来春まで待たねばなりません。

 庶民的な中古カメラ屋さんでの昨年までの中古価格でも、ちょっと高いと思っていました。それが、今は倍近くです。率直に言ってそんな価値があるとは思えません。




 

 
   

 更新日 : 2004・11・08.