作成:2003・04・02

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


SMCタクマー 85mmF1.8 の思い出


手ごろなサイズの望遠レンズ

 世の中が裕福なのか、雑誌などのポートレートに必須とか云うふれこみが浸透したのか、85mmの中望遠レンズは、どのメーカーのレンズも人気です。時代遅れのSMCタクマーも例外ではなく、結構なプレミアが付いていたりします。
 昔は、まず最初の望遠レンズは、105mmや135mmを選び、さらに200mmや300mmに憧れるのが普通でした。標準や105mmがあるのに85mmは贅沢品で、見識のあるベテランでないと85mmまで揃える人はいませんでした。

 SMCタクマー85mmF1.9(参照)はサムスルさん、SMCタクマー85mmF1.8は汁さんがお持ちで、それぞれ見事な写真をメールや年賀状で頂いていました。私の中では、開けて上品、絞って鮮明な85mmレンズという期待が膨らむばかりですが、高価なのでずっと後回しなっていました。

 ついに、小カビ付きで格安でしたが、フード、キャップ類、ケース付きのSMCタクマー85mmF1.8をネットオークションで譲って頂きました。小カビといっても最後面外周部だけですから分解清掃の必要はありません。大切に使われていて、手ズレもごく僅か、指紋を付けてしまったということさえないという光学系もたいへんきれいです。

 

 SMCタクマー 85mmF1.8 の印象

 ファットな外観で、ESIIに程好いサイズです。明るいレンズなので、暗いファインダーでも問題ありません。
 SMCタクマー85mmF1.8は、硬いという評判ですが、それは絞った時のこと。確かに絞るとタクマーレンズらしからぬ鮮明さです。ほどよいコントラストと素直な描写を楽しむことが出来ます。開放の浅い被写体深度でもしっかりした描写とコントラストで、アウトフォーカス部分のきれいさもまずまずだと思います。抜けの良さや逆光でのフレアはまずまずのレベルです。
 少し絞った時の背景ボケがもう少し素直できれいならとおもうことがあります。思いっきって開けるか絞るかが使いこなしのポイントだと思います。

 確かに、開けて上品、絞って鮮明で、細かな描写を適当に省略したりしないまじめな性格のレンズで、このレンズを絶賛する方もいますが、私は素直になれません。それは、価格です。例えば、イオス用85mmF1.8のパフォーマンスに比べれば、このSマウントレンズは、まだ納得できるものではありません。これから使い込んで、開けて上品、絞って鮮明、という期待通りの長所を引き出すことが出来れば評価が変わるかも知れません。

 最短撮影距離は、0.8mで、あと20cmと思うことがありますが、まずまずでしょう。フードは専用で、付けっぱなしでも気にならないサイズです。

 

 系譜

 85mmF1.9の光学的なデザインは、1961発売のプリセット絞りタクマー85mmF1.9から改良を重ねているようですが、SMCタクマー85mmF1.8は、解像力とコントラストを向上させるため、SMCタクマー85mmF1.9の後群を一新し、開放測光連動の鏡胴に新設計されたものです。このレンズの描写から、ツァイスとの技提云々をいう方もいますが、発売された時期などから関係は無いでしょう。

 Kマウントの85mmF1.8も基本的に同じデザインです。継投のフィルタ径49mmのMレンズは85mmF2のコンパクトなレンズですが、Aレンズでは85mmF1.4と、夢のようなレンズです。

 

 その他

 このレンズのフードも専用なので、中古カメラ屋さんで買う時は、オリジナルのフードやキャップ類が付いているかは、重要な点です。
 譲って頂いたレンズ本体のケースは紙製でしたが、この日に備えて2年以上も前から革製のケースを準備していました。このレンズも、ケースにはフードを逆被せすると一緒に収納できます。


きれいなレンズですから、幕を交換したばかりのピカピカのSPに装着してみました。



 Sマウントのレンズですから、やはり、Sマウントのボディです。マウントアダプター付き現行ボディでは、開放測光も自動絞りも生かせず、プリセット絞りのジュピター9のほうが使いやすさは上です。
 と、いう訳で、SMCタクマーを買うことの出来ない私は、ESII にジュピター9を付けてそれなりに満足していました。絞込みを忘れてもオートが効いて露出を救ってくれる確率が高いからです。

 いい年なんですが、わくわくしながら、SMCタクマー85mmF1.8を付けて自動露光でフィルムを1本撮ったのです。が、全くネガ濃度が揃っちゃったのには笑っちゃいました。雪景色も室内も同じ濃度じゃ困ります。
 これで、開放測光機能の付いたSMCタクマーレンズは全て揃ったことになったと思ったのですが ・ ・ ・ 不便でも、それなりに考えて使っていたんですね。今回、時代遅れのレンズに2万1千円は躊躇しました。(I am 貧乏)




 

   

 更新日 :2018・11・23.
 Product Code 43832