作成:2001・01・14


改訂 2

文章が多くて申し訳ありません。じっくり読まれる場合は、オフラインで読んで頂くと通信費節約になります。



はじめに

 写真を撮り始めたころの私にとっては、PentaxとはSpotmaticすなわちSPのことでした。SPは1964年発売で、約10年生産されて、SPII やSP-Fに継投しました。普通の家庭でも買える一眼レフとして、写真の普及にたいへん大きな功績を果たしました。

 ここで教材とするSPは、トップカバーが外せず、昨年の夏からそのままになっていたものです。不動のSPを修理出来たからといって、すこしも珍しい話ではありませんが、古いものにもかかわらず、ファインダーのプリズムには、不思議なことに腐蝕が発生していません。その理由をぜひ確かめたいと思い、ずっと思案をしていましたが、このたびトップカバーがあきました。また、露出計(メーター)に関してそれなりの知見を得られたました。皆様に何らかのご参考になればと思い、ご紹介する次第です。

 なお、ヤボなことを云って恐縮なのですが、いつものお約束です。ご自身で修理にトライしても、それは、ご自身の責任であるということのご了解をお願い致します。ご意見などは、掲示板に書き込み頂ければ、無責任なお話になるかもしれませんが、返答させて頂きたいと思います。


今回のSPはとりあえずここからです

状況把握と修繕の内容

 このSP(プロダクトナンバー:23102)は、モータードライブ付きのモデルが出現する前のもので、ES/ESII と比べると使用されている部品はきゃしゃでプレスなどの品質もよくありません。ビスもマイナスネジばかりです。しかし、考え抜かれたメカニズムが、奏効し、機械的にはみかけほどきゃしゃではありません。アドバイスを頂いた方によれば、「シンプルで良く出来ているので、たいていは壊れているうちには入らない。SPの修理なんて簡単。」と励まされました。

 このSPは、自動絞り機構が引っ掛って戻らず(従ってミラーも降りない)、ファインダーの汚れはスゴイとしか云えません。露出計も不調です。吊金具も1つ失われていますし、外観のカビとサビも尋常ではありません。でも、シャッターはきれいとは云えませんが健全ですし、開けば、これらの障害も対処できそうです。ナットの溝がつぶれていて外れなかったのですが、このたびそのナットを切ってトップカバーを開けることにしました。
 開放できれば、それまでやってみようと思っていたことを実効するだけで、比較的順調に甦生させることができました。
(点検結果と修繕内容の詳細 → ここにあります)

 なお、SPの開放手順は、先のESII とほとんど同じですがより容易です。いちおう、開放手順をまとめましたので、ご参考になれば幸いです。
(SPの開放手順 → ここにあります)


まとめ

 このSPに関しては、仕上がってみての操作感は全般に悪くはないのですが、巻き上げの時、どこかちょっと擦れて鳴きます。ラチェット機構など分解して注油してみたのですが、効果がありません。この原因場所の追求と対策は断念しました。いずれにしろ、最初の状態を考えれば、上出来と思っています。
 このSPは、道具として充分努めを果たした後の余生で、交換すべき部品もそのままですから、それなりの付き合い方が必要です。

[反省]
 トップカバーを開けられなくなってしまったのは、私の責任です。強引に開けようとして、つぶれかかったナットの溝の状況をさらに悪くしてしまったもので、自業自得です。
 反対に胸をなで下ろしたのが吊金具です。残っていた吊金具の留めビスも破断しかかっていました。オリジナル通りにはなりませんが部品取りのESII の吊金具を2個とも留めビスごと移しました。

[謝辞]
 ハンドルネームなどは伏せますが、この標準レンズ付きSPとSMCマクロタクマー50mmF4を格安で譲って下さった方、リペアマニュアルを譲って頂いた方、SPの修理のアドバイスも頂いた方々には、心からお礼を申し上げます。

 このSPにプリズム腐蝕が発生していない理由は判りましたし、露出計のメーターに関する知見や手入れの方法などの収穫は、「ESII のファインダーブロックの若返り方法」に反映してご報告しております。





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 作成日 : 2001・01・14.
 更新日 : 2003・02・19.