ESIIに付いていた標準レンズの後日談

1.はじめに
 1台目のESIIに付いていた標準レンズ(SMC−T50mmF1.4)の光学系はたいへんきれいでした。ただし、小さな打ちキズが深度目盛の飾りリングにあり、0.7〜0.9mぐらいのところで、距離環の回転が渋くなるのが若干気になりました。また、絞りの復元も若干渋く、小絞りだと姿勢によっては戻らないことがありました。

絞りが粘るのも、距離環の回転が渋くなるのも、長期保管の後遺症だと思っておりました。距離環は、少し動かせば、滑らかになるだろうと思ってグリグリ回していたところ、ヘリコイドは回りますが、距離目盛が動かなくなってしまいました。
2.対 応
 ジャンク品の同形式のレンズで分解の練習をし、構造を理解してから、飾りリング、前群のレンズホルダー、フィルタ枠の外筒、距離環と外してみると、距離の目盛板が剥がれてしまっていました。せっかく分解しかかったのですから、距離環だけでなく、キズのある深度目盛の飾りリングも一緒にジャンク品のものと交換して再組み立てました。

 距離環の妙な引っ掛りは、ゴム糊で貼って巻いてある目盛板が剥がれかかっていて擦っていたためでした。そう云えば、かすかに擦るような音が聞こえていました。これを良品と交換することで解消しましたが、目盛板を張り直して再使用してもかまいません。

[備 考]
距離環を外す時は、無限遠にしておいて、組立ての終わるまでヘリコイドを決して動かさないことです。これを外すと、近視や遠視の状態にならないよう調整するのに往生します。
 俗にいう絞りの粘りのほうは、絞込み用押し込みピンの軸方向の動きを直角方向に変換するリンク部分に、ミシン油を少量注すことで、うそのように解消しました。但し、50mmF1.4では最後群のレンズ(55mmF1.8は後群レンズホルダー)を外さないと注射針が届きません。

[備 考]
油は1滴では多すぎるかも知れないので、ミシン油とアルコール(1:2〜1:3)をドレッシングのように混ぜたものを1滴だけ使用しました。
ここで云う注射針はアクリル接着剤に付いていたものを使っています。先が研いでないので刺さったりはしません。
3.まとめ
  初心者の悲しさです。笑って下さい。

 標準レンズの分解手入れというのは、カビの清掃などで、馴れた人はだれでも行っていることなので、とりたててこのようなことを書いてはヒンシュクものだとは思います。
 しかし、私は、初めてだったもので、たったこれだけのことをするのに、ジャンクレンズを使って2ヶ月以上も思案して試行錯誤を繰り返しました。

補 足:
練習に使用したSMC−T50mmF1.4のジャンクレンズは551万番台の「ELECTORO SPOTMATIC」に付いていたもので、絞りの粘りだけでなく、カビ跡、レンズヤケありで、中身はSMCタクマーなのかスーパータクマーなのか怪しいものです。飾りリングがユルユルで、フィルタ枠の外筒の取り付けビスもきちんと締めてなくガタがありました。



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      作成日 : 2000・12・20.
      更新日 : 2000・12・20.