作成:2021・01・11
お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。
5.SMCタクマー 85mmF1.8 と SMCタクマー 85mmF1.9
![]() SMCタクマー 85mmF1.9 と SMCタクマー 85mmF1.8 中央は、スーパータクマー 85mmF1.9 どちらのレンズも、フィルムカメラでの印象は、絞っても硬いと感じることはなく、開放でも合焦している被写体は鮮明で、アウトフォーカス部分はきれいにボケてゆきます。開けて上品、絞って鮮明でした。いずれも、素直な描写が楽しめるとてもタクマー度の高いレンズと思っています。しかし、標準55mmに似た「素直な描写」には物足りないものを感じるのも事実で、現在は、シャープネスに加え背景の「玉ボケ(丸ボケ)」が注目される焦点距離です。 世の評判は、絞り羽根の枚数に捉われているところがありますが、海外では、あまり絞り羽根の枚数にこだわらず、どちらのレンズも好評価ですが、ストイックな使い勝手のMFレンズと捉えられています。 SMCタクマー 85mmF1.9は、伝統の4群5枚のエルノスタータイプですが、SMCタクマー 85mmF1.8は、6群6枚の変形ダブルガウスタイプで、完全な新設計です。像面歪曲を改善して周辺画質の向上を狙ったようです。当時は、SMCタクマー 85mmF1.9は、開放測光に連動しなかったので、使い勝手からも疑問視されていましたが、既存レンズをマルチコーティングして急場をしのいだ事情をなんとなく伺い知ることができます。 どちらも、フィルタ径は58mmで程よい大きさで、今では、質感の良さが好感されているようです。 |
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SMCタクマー 85mmF1.8の試写 |
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![]() SMCタクマー 85mmF1.8 試写 |
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![]() ピクセル等倍画像 (部分) |
同じ条件で同じ場所を撮影して比較したかったのですが、おおざっぱに撮影したのでは差が判らなくて無理でした。 開放でピントはAFに頼り切って手持ちですが、通行人の髪の毛がシャープではないものの写っているのはさすがと思います。エッジを立てないタクマーレンズの奥ゆかしさです。 |
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SMCタクマー 85mmF1.9の試写 |
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![]() SMCタクマー 85mmF1.9 試写 |
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![]() ピクセル等倍画像 (部分) |
やはり、SMCタクマー85mmF1.8のほうが、新しい分進歩していると感じます。 SMCタクマー 85mmF1.8に比べて、SMCタクマー 85mmF1.9は、開放で撮影した場合、拡大すると僅かに軸上色収差とコマ収差が感じられます。これらは、少し絞れば解消しますし、APS-Cサイズでの使用では気づき難いと思います。 |
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どこにピントが合わせるかはAFに頼り切って手持ちですから厳密ではありませんが、端の方はSMCタクマー 85mmF1.8のほうが少しだけシャープな感じで。全体としては、どちらのレンズも、α7RII に対してシャープネスは満足していて、エッジを立てずにボケてゆくタクマーらしい描写だと思います。 LM-EA7の繰り出し量だけで85mmの画角では、半身像程度(約2m)まで寄れますが、さらに寄るにはレンズ側の繰り出しも必要になってきます。 いずれのレンズも、開放からF8程度まで、室内でも半押しAFでピント合わせできるAF感度です。絞り羽根の枚数はSMCタクマー 85mmF1.8が8枚、SMCタクマー 85mmF1.9が6枚です。
このα7RII (FW Ver.4.00)とLM-EA7(FW Ver.6.0)での動作なので、記載内容が再現しない場合はご容赦ください。SMCタクマー85mmF1.8を取付ける中間アダプターは、マウントアダプターKを介して YIYO K-Mマウントアダプターを、SMCタクマー85mmF1.9には YIYO M42-Mマウントアダプターを使用しています。 |
余 談
[ご注意]
SMCタクマー 85mmF1.8は、ピン押しタイプのアダプターは多分使えません。レンズ側の開放測光のための絞り連動カプラーの位置が、他のSMCタクマーレンズより少し外側に位置しており、アダプターのピン押しリングの内径に納まらず干渉して締め込むことができません。 同様のことがSMCタクマー 50mmF1.4でも発生しますが、絞り連動カプラーの高さが低いので、締め込むことは出来ても絞りリングが動かなくなります。中間アダプターのアダプターのピン押しリングの位置(深さ)によっては干渉しません。YIYO M42-Mマウントアダプターは干渉しましたが、K&F ConceptとPixcoのものは微妙ですが絞りリングは動きます。 ピン押しリングを撤去するか、非ピン押しタイプの中間アダプターを探して買うのが解決策です。急場は、Kマウントのアダプターに、マウントアダプターKを装着すると非ピン押しタイプのS(M42)マウントアダプターになります。レンズ装着後に、レンズのオート/マニュアルレバーをマニュアル位置にすることで、絞りを実絞りで使用することができます。余計なことで恐縮ですが、絞り連動カプラーを切り落とすのは待ってください。カプラーをカットしたレンズをネットオークションで見たことがあります。 ![]() ![]() ![]() 左はピン押しプレートの内径にカプラーが納まります 非ピン押しタイプのS(M42)マウントアダプターを準備 |