作成:2021・01・11


お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


 

  4.SMCタクマー 35mmF2/F3.5 と 前期型 スーパータクマー 35mmF2


前はSMCタクマー 35mmF2 と前期型 スーパータクマー 35mmF2
中央はSMCタクマー F3.5
 
 ちょっとだけワイドな標準レンズであることが、35mmレンズの本領だとは思っています。SMCタクマー 35mmF2は、1968年に登場した前任の後期型 スーパータクマー35mmF2とともに黄変レンズとして有名です。フィルタ径 67mmの前期型のスーパータクマー 35mmF2は、1963年登場でドデカタクマーと揶揄されます。とはいえ、いずれもしっかりした階調の鮮明なクセのない写真が撮れる素直なレンズで、少し絞ると、周辺光量の低下も改善され、描写も一段とクリアになります。よって、名レンズといいたいところですが、SMCタクマー 35mmF3.5が、1959年登場のオートタクマー 35mmF3.5からKマウントのSMCペンタックス 35mmF3.5まで同様の光学系を踏襲していて妙な風評のないワァこそ名レンズだとアピールしています。

 とはいえ、いちばん最初にα7RII とLM-EA7に付けたのは、重さがLM-EA7の使用限界に迫るドデカタクマーでした。ちょっとワイドな標準レンズで、新鮮味はないのですが、SMCタクマー 35mmF2 と 前期型 スーパータクマー 35mmF2に、SMCタクマー 35mmF3.5を加えて比較してみます。


 

SMCタクマー 35mmF2の試写



SMCタクマー 35mmF2 試写


ピクセル等倍画像 (部分)

 開放で撮影しているのですが、他の35mmレンズに比べると少し硬い印象を受けます。ガサガサした被写体なのでこうなったともいえます。二線ボケは発生していないようです。

 シャープネスは十分すぎて何も言えません。しかし本当にタクマーレンズかと疑ってはいけません。広角の標準レンズですから、タクマー度の高い描写もこなします。


黄変の影響が残った場合
 SMCタクマー 35mmF2は、この20年で一段と黄変が進行してしまったようです。
 左は、上の写真と同じ場所で縦アングルで撮影したもので少し暖色になりました。

 黄変レンズのホワイトバランスはα7RII にオートでお任せしているのですが、ちょっと暖色になったり青みが強かったりと、さすがのα7RII のホワイトバランス調整でも悩みます。本当にお手数をおかけしますが、紫外線ブリーチまでよろしくお願いします。

 

前期型 スーパータクマー 35mmF2の試写



前期型 スーパータクマー 35mmF2 試写



ピクセル等倍画像 (部分)

 左も、絞りは開放で撮影した写真をリサイズしています。F5.6まで絞ると、四隅の画像の崩れと光量低下は改善され、コントラストと彩度も格段に改善され、全体のシャープネスも向上し、この等倍画像の滲みも消失します。


 この等倍画像は、あえて、古いバージョンのSILKYPIXで表示したものですが、等倍ならモザイク模様になりません。

 

SMCタクマー 35mmF3.5の試写



SMCタクマー 35mmF3.5 試写



ピクセル等倍画像 (部分)

 このSMCタクマー 35mmF3.5も、紅葉の風景だと、他の広角レンズと見分けがつかないタクマーレンズらしい素直な描写です。等倍画像では、α7RII に対して充分なシャープネスが確保されていると思います。

 スーパータクマー35mmF3.5は、最小絞りがF22とF16の二種類がありますが、SMCタクマー 35mmF3.5はF16です。

 
 
 日中の屋外であればF8〜11程度までは、LM-EA7による半押しAFが可能です。室内では、SMCタクマー35mmF2と35mmF3.5は開放からF8程度まで、前期型スーパータクマー 35mmF2はAF感度がよくてF11程度まで半押しAFでもピント合わせできます。
 SMCタクマー 35mmF2の絞り羽根は6枚です。SMCタクマー 35mmF3.5と前期型スーパータクマー 35mmF2いずれも絞り羽根は5枚です。最短撮影距離が45cm程度までなら、LM-EA7の繰り出し量で足ります。

 

このα7RII (FW Ver.4.00)とLM-EA7(FW Ver.6.0)での動作なので、記載内容が再現しない場合はご容赦ください。このレンズを取付ける中間アダプターは、Sマウントレンズなので YIYO M42-Mマウントアダプターを使用しています。
 

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   更新日 : 2021・01・11.

 

 

    余 談

[メモ]
 SMCタクマー 35mmF2は黄変で有名です。高屈折率ガラスのトリウムが主にα崩壊する際に発生するガンマ線で、ガラス内部で格子欠陥ができるため黄変するようですが、殺菌灯の紫外線を照射するとブリーチできることも知られています。2005年ごろ最初に伺ったのですが、ガンマ線で出来た格子欠陥が、紫外線で加速されるのではなくブリーチできるとは信じられませんでした。そのメカニズムはよく判りません。

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