作成:2021・01・11


お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


 

 3.4 コムラー 105mm F2


コムラー 105mm F2の外観
キャップ類は欠品でした
 
 高校生の頃、マウントを交換できるユニダプターシステムのコムラーレンズは、みんなで融通して使って、大変お世話になっていました。固定マウントのコムラーの大口径シリーズは、85mmF1.4、105mmF2、135mmF2、135mmF2.3があったのですが、誰も持っていなかったので、全く印象には残ってはいません。自動絞り、開放測光に向かう時代だったのです。
 この、コムラー 105mm F2は、固定マウント方式のもので、2005年正月にネットオークションで譲って頂いたもので、4980円でした。少し掃除はしましたが、外観のスレ汚れアタリの酷さは尋常ではありません。そのまま、しまい込んでいたものを発見しました。
 コムラー 105mm F2は、レンズ構成は4群5枚のエルノスタータイプで、 絞り羽根12枚、フィルタ径58mmで重量は417gとLM-EA7にかろうじて許容できます。登場は1960年ごろで、その後ユニダプターマウントになってマウント交換式となったはずですが、1968年のカタログにはありません。

 

コムラー 105mm F2


コムラー 105mm F2 試写


コムラー 105mm F2 試写


ピクセル等倍画像 (部分)
 
 レンズの性能には期待していませんでした。シャープネスは、そこそこ良くフィルムカメラなら充分でしょう。開放での周辺画像では軸上色収差が少し顕著ですが、コマ収差はほとんど目立ちません。像面歪曲も少ないようで広い良好画像が得られます。
 屋外晴天なのに、なぜかα7RII がカラーバランスに迷うことがあります。彩度は少し地味な印象です。
 同じ4群5枚構成のエルノスタータイプということで、少し地味な彩度も含めてタクマー105mmF2.8とたいへんよく似た描写をします。でも、開放F2の豊かなボケには圧倒されます。
 1960年代登場ということを考えると、ここまでの性能のレンズがよくもまあできたものだと感心します。コムラーから発売されていた交換レンズのうち、大口径レンズシリーズがユニダプターシステムになったのは、1967年登場の100mmF1.8からのようですが、1968年には交代するように105mmF2はカメラ総合カタログにはありません。1969年に400mmF6.3と500mmF7を除いて全て自動絞りのユニオートレンズになった時。大口径レンズシリーズは全てカタログからなくなりました。

 当時、大口径シリーズは贅沢なレンズなのに、開放測光どころか自動絞りでさえなく、時代遅れのプリセット絞りであることが、不人気=流通量が少ないことの原因だったのでしょう。タクマーレンズにも、大口径のプリセット絞りのレンズがありました。タクマー1;2/100ですが、1965年〜67年のカタログに掲載されているのに市中で見ることはなく、生産数は100本とも200本とも言われ、相当に不人気だったことが伺えます。

 α7RII では、プリセット絞りは使い勝手に関係ありません。コムラーの大口径レンズシリーズは意欲的な1960年代の高性能レンズですが、同時期のタクマーレンズと比較したいと思っても、85mmF1.4、100mmF1.8、135mmF2に巡り合うことはなかなかありません。
 室内で開放からF8からF5.6程度まで半押しAFでもピント合わせできます。LM-EA7の繰り出し量だけでは、焦点距離105mmに対して最短撮影距離は3.0m程度ですので、レンズのヘリコイドで加勢しなければなりません。

 

このα7RII (FW Ver.4.00)とLM-EA7(FW Ver.6.0)での動作なので、記載内容が再現しない場合はご容赦ください。このレンズを取付ける中間アダプターは、Sマウントレンズなので K&F Concept KF-42M2マウントダプターを使用しています。
 

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   更新日 : 2021・01・11.

 

 

    余 談

[メ モ] 幻のタクマー100mmF2のこと

 常連のspotmaticianII さんが、2004年5月ごろに、大久保の中古カメラ屋さんで、幻のタクマー100mmF2を、立て続けに2本入手されました。その後、そのお姿を画像掲示板に内密にアップして頂きました。内密というお約束で見せて頂いたのですが、もう時効だと判断して、その時のログを公開させて頂きます。2本のタクマー100mmF2が写っている写真はとても貴重です。spotmaticianII さんありがとうございます。
 
 TAKUMAR100mmF2
お待たせしてました画像を貼り付けます。諸般の事情から、一部画像に処理を施していますが、ご了承ください。まずはシリアルから...

 TAKUMAR100mmF2 その2
距離指標がオレンジものと白のものが私のところにはあります。たぶんオリジナルと思われるオレンジヴァージョンがこれです。

 TAKUMAR100mmF2 その3
こちらはノン・オリジナルではないでしょうか...?
距離指標が白いです。他の白い文字と比べて指標だけ厚塗りになっています。たぶん剥がれて塗ったのでは...?まさかロットごとに違うとは思えないんですが...。 画像は機材が寄れないためヒドイですね...。御容赦を。

 TAKUMAR100mmF2 その4
マウント部はこんな感じです。
後玉の大きいこと。これではマウントに自動絞りのピンは無理です。光学系が動くと中の空気も動くので、まるで先端を塞いだ注射器のように抵抗があります。ボディに装着する分にはさほどでも無いですが、リヤキャップをつけると...。

 TAKUMAR100mmF2 その5
ボディに装着するとこんな感じです。
大きさ的には85mmと135mmの2.5の中間くらいでしょうか。ちなみにボディもちょっと面白いもので、シャッターダイアルが違います。
 Takumar 1:2 / 100

 焦点距離   :100 mm
 明るさ    :F 2
 レンズ構成  :5群5枚
 絞り方式   :プリセット絞り
 写角     :24°
 最短撮影距離 :1m
 最小絞り   :F22
 公称重量   :350g
 公称寸法   :径62.5mm×長70mm
 フィルタ径  :58mm
 付属品・価格 :フード・ケース付
         \ 2,1000

出典:TAKUMAR LENSES
   *ペンタックスとタクマーレンズ

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