作成:2023・06・27

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


使用したネガ・ポジ変換ソフト

PENTAX K-1,K-S1 と Sony α7RII の場合


 

 JJC、Nikon いずれも、フィルムスキャナーを使うよりも短時間で簡単に作業できるという謳い文句ですが、そうは思えません。ラインセンサのフィルムスキャナは時間が掛かりますが、エリアセンサのスキャナはワンショットです。いずれにしろ、カラー写真のネガ・ポジ変換は、ネガポジ反転したら、大抵は、カラーバランス調整、諧調(明度とコントラスト)、彩度調整が必要で、納得できるまで調整するのは結構な手間です。
 しかし、経年変化でカラーバランスが崩れたり、彩度の低下していると思われるネガフィルムが、往年の画質で甦ったときは感激です。今回の例は、あえて古いネガフィルムをネガ・ポジ変換しています。
 
 PENTAXでは、添付ソフトのDigital Camera Utility 5で画像を反転する方法と、ボディ内でデジタルフィルターのネガポジ反転機能を使う方法があります。使ってみては、添付ソフトのほうが使い易いと思いました。
 ボディが非PENTAX製だと、こうも行きません。そこで「ネガフィルム反転ツール」でワンクリックを謳う SILKYPIX Developer Studio Pro10(Pro11が最新)を使ってみました。JPG Photographyという安価なJPEG専用バージョンもあります 。。。慣れれば、SILKYPIX は使い易いと感じました。

 

カラー写真のネガ・ポジ変換:Digital Camera Utility 5の場合
 
 カメラに添付の Digital Camera Utility 5 の場合、イレギュラーな方法ですが、[ホワイトバランス]タブのグレー点設定でオレンジマスクを消します。ひと手間増えますが、これで、オレンジマスクの補正に往生しません。次に[露出/トーン]タブでのネガポジ反転ボタンをクリックします。この先は「自動」や「ワンクリック」とは行きません。そこで[カスタムイメージ]のタブを開くと、「明度」「コントラスト」「彩度」のスライダーがあります 。。。作品を納得できるまで吟味するならともかく「自動調整」ボタンが欲しいところです。
 画像の撮影情報(Exif情報)を参照しているようで、重要:igital Camera Utility 5 は、PENTAX以外のボディで撮影した画像は、原則として調整はできません。途中で他のソフトで調整した画像も、受け付けなくなりますが、状況に応じて、オレンジマスクのキャンセルやネガポジ反転してからは、簡便な画像ソフトにバトンタッチするのも早道です。
 

白色光で撮影したネガ画像例

オレンジマスクをキャンセル

ネガポジ反転 [続きはここ}

 

カラー写真のネガ・ポジ変換:デジタルフィルター[ネガポジ反転]の場合
 
 K-1もK-S1もデジタルフィルターにネガポジ反転機能があります。ネガフィルムのオレンジマスクはオートホワイトバランスで補正されるという話もあります。古いネガフィルムはオレンジマスクがきついので、青色セロファンなどが効くという話も聞いたことがありました。
 しばらく前に、LEDビデオライト(Ulanzi VL49)を買っていました。色温度(CCT)モードとRGBモードで色調が変えられるのが特徴です。白色光で撮影した画像は調整が困難ですが、照明を、できるだけオレンジマスクの補色になるような色相に指定すると、調整しやすいネガポジ反転画像が得られます。
 
 フィルム銘柄などでオレンジマスクは様々に変わりますので、オレンジマスクが薄くなる照明の色相を探すのは少し手間です。また、古いネガは経年劣化で軟調で彩度も低くなっているので、ここからは、Digital Camera Utility 5 でホワイトバランスを補正し、諧調と彩度を調整したいのですが、「自動」ではできません。そこで、400-SCN024の添付ソフトのArcsoft Media Impression 2の「調節」で「自動補正」ボタンのワンクリックして、さらに微調整してみました。
 

白色光で撮影した例

色相 150°で撮影した例 [続きはここ}

 なお、デジタルフィルターは、K-1もK-S1も[INFO]ボタンでコントロールパネルを開き[デジタルフィルター]から[ネガポジ反転]を選択し[OK]を押します。[デジタルフィルター]をOFFにするか、電源スイッチを切ると[デジタルフィルター]は解除されます。2012年ごろ以降のPENTAX DSLRでは、全てネガポジ反転機能が使えるようです。なお、手ブレ補正機構は[INFO]で表示するコントロールパネルからもON/OFFでき、電源スイッチを切ってもキャンセルされません。

 

カラー写真のネガ・ポジ変換:SILKYPIX Developer Studio Pro10 の場合
 
 ネガポジ反転には、オレンジマスクのキャンセルとネガポジ反転機能が必要ですが、α7RII 添付の画像ソフトの Imaging Edge は、RAWファイルでないとホワイトバランスさえ調整が出来ず、ネガポジ反転機能さえないようで、ネガフィルムを効率的にデジタイズする要件を満足していません。
 幸いにも、SILKYPIX Developer Studio Pro10 (最新はPro11) がインストールされています。多機能過ぎて訳が分からなくなっていましたが、SILKYPIXが使いにくいなんて言ってられません。ネガポジ反転を使い込んでみることにしました。
 
 「ネガフィルム反転ツール」は未露光部分をワンクリックでネガ画像をポジ画像へ変換でき、さらに普通の写真と同じように調整して仕上げることができるそうです 。。。できるだけ画面いっぱいのサイズでデジタイズしたいので「未露光部分がない」場合は困ります。最も暗い無彩色の場所で代用します 。。。稀に調子が良ければ、反転ツールでクリックすると一気にネガ・ポジ変換され、自動補正されます。ハイライトやシャドウはさておき、ひと昔前のミニラボ(自動DPE装置)の同時プリントのような味わいです。ネガポジ反転後の諧調は、Digital Camera Utility 5 よりしっかりしていますが、軟調になったり、下の例のように過剰になることもあります。
 
 SILKYPIXのパラメータコントロールには「明度」のスライダーが終始表示されていいます。ホワイトバランス調整は「グレーバランスツール」が手軽です。表示からサブコントロールパネルの[調子]を選ぶと、「コントラスト」のスライダが現れ、諧調の調整ができます。ます。[カラー]を選ぶと、「彩度」のスライダーが現れます。トーンカーブの調整もできます。
 その他に「回転デジタルシフト」で傾きと「トリミング領域設定」を指定しておきます。「スポッティングツール」でレタッチもできますので、必ずしもフリーソフトに頼る必要はありません。
 

白色光で撮影したネガ画像例

ネガフィルム反転ツール使用後 [続きはここ}

 現像パラメータの「自動調整ボタン」で、自動露出補正、オートホワイトバランス、自動レベル補正をまとめておこなう機能で良さげですが、ネガポジ反転に続いて「自動調整ボタン」は、変化がなかったり、かえって酷くなることがあります。もう一度、マニュアルで順に調整します 。。。操作に迷ったときは、オプション機能/コントロール表示状態の初期化をして、冷静にやり直します 。。。カラーネガフィルムのラチチュードは広いので、もうひと手間の微調整で手焼きの味わいを目指したいと思います。
 

 

モノクロ写真のネガ・ポジ変換
 
 モノクロ写真の場合、ネガ・ポジ変換は、K-1やK-S1のデジタルフィルター機能(ネガポジ反転)を使わずとも、フリーレタッチソフトで反転できます。定番のJTrim なら、ネガポジ反転、明るさ/コントラスト調整、グレースケール変換までできます。モノクロフィルムのラチチュードは広いので、コントラストが低い軟調な画像になりがちです。また、セピア調などに色づいている場合の奥の手がグレースケール変換です。
 JTrimでオレンジマスクのキャンセルが簡単であれば、カラーネガフィルムでも使えるのですが、残念ながらモノクロネガフィルム限定になります。
 


 とりあえず、諧調さえ整えればよいのですが、ハイライトを白飛びさせない、シャドウをつぶれないようにしたいといった要求で、トーンカーブが調整が必要な場合、個人的にはフリーのソフトは FireAlpaca を使います。

 

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 更新日 : 2023・06・27.

 

      [メモ] SILKYPIX

 SILKYPIXは、Developer Studio 3.0を、2007年ごろ購入し、適宜アップデートしながら、現在は「SILKYPIX Developer Studio Pro10」をインストールしています。最新は「Pro11」ですが、買い切りタイプなので、「Pro10」のままでも不自由してません。3台までPCへ登録できるそうです。
 SLKYPIXでは、RAWデータを入力とするRAW現像ソフトウェアですが、JPEG/TIFFファイルを扱うことができ、RAW現像するのと逆の処理をおこなって、内部的にJPEG/TIFF画像をRAWデータに近い形のデータを変換してから再度現像処理をおこなうそうです。
 SLKYPIXには、JPG PhotographyというJPEG専用バージョンがあり、とても求めやすい価格です。ここのネガポジ反転は、RAWやTIFFファイルは使わないようにしているので、このバージョンも対応できます。
 なお、最新は「Pro11」で、クリアビューという新処理技術に惹かれますが、新しいボディを買ったらアップグレードしたいと思います。

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