作成:2022・07・24

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


気になる 元祖 タクマー35mmF4


タクマー35mmF4 フィルタ径46mm用の前キャップ 後キャップはアルミ製

 アサヒ ペンタックス(AP)や ペンタックス Kが登場したころは、まだ若過ぎて、この時代の写真機材には何の思い出もありません。しかし、Sonyα7RII とマウントアダプターLM-EA7で、引き伸し用レンズ、ウルトラワイド-ヘリアー、スーパーワイド-ヘリアーを使ってみると、なぜか、マニュアル絞りのタクマー 35mm F4 が仲間に欲しくなりました。60年以上も前のレンズだから幻滅するぞ、散財は禁止と言い聞かせても気になります 。。。

 

 タクマー35mmF4 の印象

 α7RII とLM-EA7で撮影し、等倍ピクセル画像で見ると、開放でも、中心部だけは、マクロタクマーを彷彿するシャープネスですが、周囲にゆくに従い低下して、四隅は崩れます。2段絞れは、四隅を残して良像範囲が広がります。歪曲は小さく、色収差なども見られません。Sタクマー/SMCタクマー 35mmF3.5も、撮り比べてみると、周囲画質は多少改善されているようですが、同じレンズではないのかと思うほど、よく似た描写をするレンズであることが判りました。
 開放での周辺の画質の低下は像面湾曲の影響とは思いますが、周辺を使わないAPS-C版ならさほど気にならないでしょう。

 絞り羽根10枚のマニュアル絞りで、最小絞り F22です。最短撮影距離は45cmで、SMC Pentax 35mm F3.5 で30cmに改善されるまで踏襲されます。フィルタ径は 46mmで、Autoタクマー 35mm F3.5も同じです。公称の径と長さは52.5×32.5 mm、重量は 138 gと、Auto タクマー 35mmF3.5と並び最小のSマウントレンズです。
 
 ワイド-ヘリアーのようなぐい呑みサイズとはいきませんが、かなりコンパクトです。α7RII とLM-EA7なら、自動絞りやプリセット絞りである必要はありません。


SMCタクマー35mmF3.5、後期型のSタクマー35mmF3.5、タクマー35mmF4のサイズ比較

 タクマー35mmF4 の系譜

 タクマー 35mm F4は、Sマウントの交換レンズでアサヒ最初のレトロフォーカスタイプの広角レンズです。35mmっという焦点距離は、アサヒフレックス用の交換レンズにはありません。1957年12月に国内発売され1958には生産終了しています。ボディは、APの翌年に半自動絞りのPENTAX Kが発売され、Autoタクマー 35mm F3.5と交代します。初期の Auto タクマー 35mm F3.5 とは交互に生産されたそうです。
 たった2年間の生産期間にもかかわらず、レンズ銘の刻印は、最初の3ロットの"Takumar 1:4 35mm"と4〜15ロットの"Takumar 1:4 f=35mm"の2種類があるそうです。外装のバリエーションもあるそうですが、細かな話を剽窃するのはやめておきます。
 
 教典の研究本「The Ultimate ASAHI PENTAX screw mount guide , 1952-1977」では、レンズ構成は4群5枚で、マニュアルから転載された光学系の図が掲載されています。タクマーレンズリストも、教典の通り4群5枚としています。一部には4群4枚という説もありますが、最後群が単レンズなっている製品に巡り合うことはないと思います。

 

 その他

 このレンズは、2022年の初夏に、ネットオークションで、このタクマー 35mmF4とタクマー 135mmF3.5のセットで入手しました。欲しいと思っていた46mmフィルタ径の望遠用のフードが付属していて、後キャップはどちらもアルミ製です。税込約11,000円でした。46mmの前キャップは欠品でした。
 
 タクマー 35mmF4にも適合する46mmフィルタ径のフードがあるのですが、必要かというと微妙です。この結果、同時期のタクマー 135mmF3.5が2本になってしまいました。


 2焦点を含め、コンパクトカメラのレンズが35mmレンズばかりになった時期がありました。さらに35mmがコンパクトな標準ズームの守備範囲になると、35mmの交換レンズに手を出すことはありません 。。。OFF会では自分で手入れしたプラカメが活躍しました。
 タクマー 35mmF4と、スーパータクマー/SMCタクマー 35mmF3.5を撮り比べたりして、少し、飽きてきました。本来なら、Autoタクマー 35mmF3.5や、SMCペンタックス 35mmF3.5とも比較して 。。。あまりにも、Sタクマー/SMCタクマー 35mmF3.5とよく似た写りなので挫折しました。
 それよりも、K-S1用などAPS-C版のマクロレンズです。 Fマクロ 50mmF2.8では、少し不自由を感じていました。勢いで HD Pentax-DA 35mm F2.8 マクロ Ltd.を精進してしまいました。


 

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 更新日 :2022・07・24.
 Product Code 329

  余 談

[メモ]  タクマー 35mmF4 のレンズ構成
 
 タクマー 35mmF4のレンズ構成ですが、英文の取扱説明書では4群5枚です。Pentax S、K、S2、H2、Heiland Pentax H1 / H3、Honeywell Pentax H1 / H3 などの取扱説明書には、次の説明が記載されているそうです。
 APの取扱説明書には時期的に広角レンズは掲載されていません。確認できたKの取扱説明書は製品写真のみの掲載でしたが、レンズ銘の刻印は後期型でした。
 拾い物の Heiland H-2 の取扱説明書が、とても鮮明だったので抜粋して示します。
 


 

標準レンズと同じサイズ;PENTAXと一緒にカメラケースに
            入れることができます。
軽量;使いやすい。
通常、日中の屋外での写真撮影には、f4より明るい絞りは必要ありません。
 
 レンズ枚数 … 5
 最小絞り …… f22
 最短撮影距離 … 1.5フィート
 画角 ……… 63°
 重量 ……… 4.8オンス.(約136g)
 
鏡筒;プリセット絞りリングがありません。
   (何もやましくないのになぜ断わるのかなぁ)
 
 
出典:INSTRUCTION GUIDE "HONEYWELL HEILAND PENTAX H-2"
1959・1960

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[メモ]  タクマー 35mmF4 の描写とシャープネス
 
 よせばいいのに、K-1(フルフレーム)で、タクマー 35mmF4、Sタクマー 35mmF3.5 と HD Pentax-DA 35mm F2.8 Macro Ltd を撮り比べました。下に、元の全体画像とピクセル等倍画像を示します。
 タクマー 35mmF4 とタクマー 35mmF3.5 の中心部の描写もシャープネスもK-1では差が判りません。HD Pentax-DA 35mm F2.8は、一絞り明るいにもかかわらず、広範囲にしっかりしていて、中心部も鮮明なので、安堵しました 。。。でも、60年以上昔のタクマー 35mmF4は立派です。
 しかし、開放ではいずれのレンズもAPS-C版の範囲外では、辛いところがあります。そもそも、HD Pentax-DA 35mm F2.8はAPS-Cフォーマット専用レンズです。





K-1使用 タクマー 35mmF4 (開放)




K-1使用 Sタクマー 35mmF3.5 (開放)




K-1使用 HD PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Ltd (開放)
 

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[メモ]  タクマー 35mmF4 のフード
 
 英文の取扱説明書でも、予期せぬ入射光を避けたり、逆光で撮影するために、可能な限りフードの使用が推奨されています。H-2の取扱説明書には、タクマー 35mmF4も、55mm標準レンズ、100mm、135mmレンズも、46mmのねじ込み式フードは互換性があると書かれています。しかし、35mmF4 に標準レンズ用のフードでは、四隅がケラれます。
 具体的に判らないのが、H1 H3の取扱説明書の「35mm f3.5とf4.0レンズ用の特別な46mmレンズフード」とS1 S3の取扱説明書の「35mmf3.5レンズ用48mmクリップオンタイプ」です。
 結局、Auto タクマー 35mmF3.5 のセパレートタイプの46mm(フード内径48mmカブセ締付け式)レンズフードがこれらのフードを指しているようです。しかし、高価なので、オリジナルにこだわらず、ステップアップリング+スーパータクマー用フードが現実的だと納得しています。正直なところ必要性はあまり感じません。
 

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