作成:2021・11・20

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


SMCペンタックス FAJ 18-35mm F4-5.6 ALの思い出

 


 私事なのですが、標準ズームとして FAズーム28mmF3.2〜105mmF4.5とFAズーム24mmF3.5〜90mmF4.5を K-1で使い分けていますが、広角ズームのFズーム24〜50mmF4の出番が全く無くなってしまいました。また、魚眼ズーム SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5の魚眼画像を「uonome」脱魚変換していると、本来の広角画像を撮れる広角ズームも欲しい気がしてきました 。。。そこで、世の評判は駄レンズの誉れが高いので、フード・キャップ付きで約2万円には躊躇しつつも、コンディションの良いFAJ 18-35mm F4-5.6 ALをネットオークションで譲ってもらいましました。
 
 FAJシリーズのレンズは、*istと *istDに対応して誕生した、35mmフィルム、APS-Cサイズ兼用のレンズです。絞りリングを省略したDAレンズと同じ装いのシンプルなデザインで、プラスチックマウントを採用して軽量化を図っており、日常の撮影で気軽に使えると謳っています。  
 

 

 SMCペンタックス FAJ 18-35mm F4-5.6 ALの印象

 FAJ 18-35mm F4-5.6 ALは、Web上にフルフレームのK-1を使用したテストデータも報告されており、「非常に柔らかな描写にもかかわらず、良好なシャープネスを示す」という評価です。
 まず、K-S1で撮影してみると、レンズに曇りや薄カビがないのに、内面反射でモヤタクです。非常に柔らかな描写って、このことだったのかと納得しました。逆光耐性が必ずしも良くない DA L 1:3.5-5.6 18-55mm AL とK-S1で撮り比べると、その差は歴然です。確信はないのですが、フルフレームのK-1よりも、APS-CのK-S1はミラーボックスが小さいので、内面反射の影響を受けやすく、全面のフレアで眠い描写になってしまうのかも知れません。K-1なら太陽などの光源の回りに盛大にベールが掛かるものの、順光を心掛けて撮影すればそれなりに鮮明です。ここ

 広角での周辺光量の落ち方は、開放でも上品です。F8に絞ればフラットな画像になります。FAズーム24mmF3.5〜90mmF4.5同様に開放でのコマ収差もありません。非球面レンズとEDレンズを使った DA L 1:3.5-5.6 18-55mm AL にシャープネスは少し及びませんが充分に鮮明です。ここ

 フィルタ径は67 mmですが、全長 69 mmで、重量 203 gと、プラスチックマウントで、軽さには関心します。FAズーム24mmF3.5〜90mmF4.5より約150gも軽いのです。非球面レンズを使用した10群12枚構成で、AFが作動してもフィルタ枠は回りません。最短撮影距離は 28 cmとまずまずです。絞り羽根は6枚で、最小絞りは、F22(F32)まで絞れます。ズームリングの表示は、18 24 28 35mmです。20 mmの標示がありません。ドット表示でも良かったのになぁ。
 必須のフード(PH-RBL67 mm)が付属しており DA 16-45mm F4 と同じです。付属のレンズキャップはFキャップでしたが、着脱しやすいO-LCキャップに交換しました。  


 系譜

 FAJシリーズのレンズは広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームの3本だけ供給されました。FAJ 18-35mm F4-5.6 ALは、2003年登場ですが、フィルムカメラの終焉とAPS-C専用のDAレンズの登場で、生産が終わったようでしばらくするとカタログからも消えました。
 
 フィルムカメラ用の広角ズームは、SFXシリーズ用の F 24-50mm F4(1987年)と、Z/MZシリーズの FA 20-35mm F4 AL(1998年)があります。
 現在のフルフレーム広角ズームの選択肢は、K-1に合わせて新たに登場した HD Pentax-D FA 15-30mm F2.8 ED SDM WR で、約1 kgの重量と10cm近い径、14 cm余りの全長と、とても大柄で、贅の限りを尽くした設計でおいそれと買える価格ではありません。



FAJ 18-35mm F4-5.6 AL(左) SMC Pentax-DA L 1:3.5-5.6 18-55mm AL(右)
 フィルムカメラの*istでは広角側の焦点距離が 18mmで画角(対角)は 100°の意欲的な広角ズームなのですが、APS-Cサイズの*istDで使うと、77°で35mm換算で28mm。 ズーム比が物足りない標準ズームになってしまいます。FAJシリーズの広角ズームは、フィルムカメラの終焉とAPS-C専用の標準ズームの隆盛に挟まれた存在 。。。不憫です。

 結び

 実は1972年に初めて買った広角レンズがSIGMA製の18mmF3.5でした。画角(対角)は 100°で当時は超広角レンズでした。高コントラストでヌケだけは良く 。。。個人的には、思い出深いものがあります。  
 
 正直なところ、K-1に付けて撮影している時間は、広角ズーム FAJ 18-35mm F4-5.6 ALよりも、魚眼ズーム F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5 のほうが長くなります。広角画像が欲しいなら、魚眼画像をuonome変換することを躊躇しません。魚眼ズームでも逆光耐性に若干不満はありますが、K-1お任せのコントラストや彩度の調節は鮮やかで不満はありません。
 
 とにかく、この広角ズームの逆光性能には脱力ですが、シャープネスは隅々まで大きな破綻がなく、歪曲は小さく、周辺光量も少し絞ればフラットになります。逆光を限りなく意識して、ヌケの良い写真が撮れたときは素直に感謝しかありません。難しいレンズです。うまく撮れると、ちょっと渋い描写で悪くない 。。。クセ玉なのです。
 
 このような軽量・コンパクトな広角ズームレンズが再び登場することはないでしょう。撮り比べてばかりでは不幸になります。いつまでも、駄レンズに散財してしまったと落ち込むより、懲りずに DA 1:4 12〜24mm ED AL[IF] あたりでAPS-Cで再度挑戦するか 。。。話は、下の余談に続きます。


 

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 更新日 :2021・11・23.
 Product Code 27727

 

 

 

   余 談

ひとり言 。。。サードパーティ広角ズームレンズに目移りします

 さて、FAJ 18-35mm F4-5.6 ALでの散財を、APS-C用の広角ズームレンズでリベンジする話です。
 
 シグマには、早く(2005年)から10-20mm F4-5.6 EX DCがあり、10-20mm F3.5 EX DC HSM に2009年に交代しています。先発の10-20mm F4-5.6 は、非球面3枚 SLDガラス1枚 ELDガラス2枚を含む10群14枚構成。継投した10-20mm F3.5 は非球面4枚 SLDガラス3枚を含む10群13枚構成です。タムロン Model B001 (SP AF10-24mm F/3.5-4.5 Di II )は非球面4枚 LDガラス2枚を含む9群12枚構成で、いずれもKマウントのものが供給されました。
 
 そして、2010年には、8-16mm F4.5-5.6 DC HSM が登場しています。なんと、12-24mm F4.5-5.6 EX DG HSM のAPS-C版ではではありませんか。しかも非球面3枚 SLDガラス1枚 FLDガラス4枚を含む11群15枚構成です。これには目移りしてしまいました 。。。一念発起して精進しなければなりません 。。。しました。
 

K-S1で撮影。K-S1もK-1でも、焦点距離 8mmのときの撮影情報(Exif情報)は 0mmです。

 これには、背景があります。EOS5Dや5D MarkIIでは、Canon製の広角ズームレンズは、EF22-55mm F4-5.6 USM は買えたのですが、本格的な広角ズームレンズとなると、恥ずかしながらCanon製は高くて手が出ませんでした。そこで、2003年10月発売で非球面3枚とSLDガラス4枚を含む12群16枚構成のシグマ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG HSMを2007年に買って愛用していました。
 
 
 このレンズのように、非球面レンズや特殊な低分散ガラスがふんだんに使われると、無条件に良さげに思ってしまいます。すばらしい画質の写真が約束される 。。。と錯覚することが大事です。色収差を低減するため低分散性のガラスですが、シグマの場合、ELD(Extraordinary Low Dispersion)ガラス、SLD(Special Low Dispersion) ガラス、FLD("F"Low Dispersion)ガラスと3種類を分けて使っています。FLDガラスは、蛍石とほぼ同等の特性を持つそうです。EDレンズよりも更に色収差補正能力の高いものは、ELDガラスなのか、SLDガラスなのかよく判りません。
 
 なお、フルフレームの シグマ 12〜24mmのほうは、非球面4枚 SLDガラス1枚 FLDガラス4枚を含む13群17枚構成の 12-24mm F4.5-5.6 ii DG HSM が2011年7月に登場。非球面2枚 SLDガラス1枚 FLDガラス5枚を含む11群16枚構成の12-24mm F4 DG HSM Art が2016年10月発売と続きますが、Kマウントのものはハナから供給されていません。
 現在では、フルフレームもAPS-C版もサードパーティ製のKマウントレンズは少なく、カタログを眺めるのもすこし切ない限りです。
 

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シグマ 8-16mm F4-5.6 EX DC HSMをK-1で試してみました

 Kマウント版に限らないのですが、この 8-16mm F4.5-5.6 DC HSMは、内外のユーザーレビューによると、16mmにズームするとフルフレームでもケラのないく良像が得られるそうです。開放でF5.6とちょっと暗いオマケ機能です。早速K-1で試してみました。14mmまでは絞り込むとケラれることがありますが、16mmは大丈夫です。しかし、16mmだけ 。。。


K-1で撮影。14mm F10では少しケラれます。


 もうひとつK-1で試してみたのは、テレプラスを付けたら、12-24mmになるかです。K-1のAF感度は高いので、よほど暗い室内でなければ、AFは作動します。画質の低下はさほどではありませんが、14mmぐらいまでは周辺がケラれ散々でした。


Pz 1.5× TELEPLUS SHQ を介してK-1で撮影。12mm F4.5(実際は18mm F6.3相当)


 このようにケラれるのを、周辺減光というには上品さに欠けます。魚眼ズームの画像を「Auto uonome Plus」で広角変換してもほとんど周辺減光しませんが、精神衛生上マシと実感しました。ということで、この広角ズームは、そのままK-S1で使うことにします。
 

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