作成:2023・06・27

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


選定したフィルムデジタイザーと使用機材

Nikon フィルムデジタイズアダプター ES-2


 
 現在、ニコンES-2という評判のフィルムデジタイズアダプター(デュプリケーター)があります。また、JJC フィルムデジタイズアダプターは、ヘッドが付いていない配光アダプターセットや、LEDライトセットなどいくつかのバリエーションがあり、工夫次第で幅広く使えるのが特徴です。
 この手のデジタイズアダプターは、他にカムフリックス製があり、35mmフィルム用と中判フィルム用それぞれ、標準マクロレンズ用と中望遠マクロレンズ用があるようです。


複写台に設置したES-2 ビデオライト lanzi VL49 とJJC デジタイザーの比較

 等倍までの撮影ができる手持ちのAFマクロレンズは、SMC PENTAX F マクロ 50mm F2.8 (Filter Size 52 mm)、HD PENTAX-DA 35mm F2.8 マクロ Limited (Filter Size 49 mm)、SMC PENTAX F マクロ 100mm F2.8(Filter Size 58 mm)があります。ボディはフルフレームのK-1とAPS-CのK-S1です。下段コラムに示すように「フィルム複写のイメージ」に示すように、K-1では等倍に、K-S1ではほぼ1:1.5の撮影倍率になります。
 
 まず、JJCのLEDライト付きFDA-S1を買いましたが、ヘッドを最短に縮めても、レンズ先端から原稿フィルムが長くて、標準マクロレンズでは画面いっぱいには写りません 。。。トホホ状態です。K-S1にはF マクロ 50mm F2.8を使うことで、K-1では、F マクロ 100mm F2.8と52mm 延長アダプターのひとつを使うことで、ほぼ、画面いっぱいのサイズにはできます。要するに、JJCのデジタイザは中望遠マクロレンズ用だったのです。
 そこで、標準マクロレンズ用にニコンES-2を買い直しました。ES-2なら K-S1では、DA 35mm F2.8を、K-1では、F マクロ 50mm F2.8を使って、期待通りの画面いっぱいのサイズに撮影できます。
 

JJCとニコンのフィルムデジタイズアダプター比較

品 名 JJC FDA-S1 1)
中望遠マクロレンズ用
Nikon ES-2
標準マクロレンズ用
ヘッドの外観
ヘッド伸縮長
[延長アダプター]
 
49.2mm~79.0mm [測定結果]
[Φ52→52mm延長アダプター:約40mm×2]
 
36.0mm~50.4mm [測定結果]
[アダプターB:約33mm] 2)
[アダプターA:約10mm] 2)
     重 量
 上段:ヘッド
 下段:フィルムキャリア
 
114g
35g
 
80g
41g
    購入価格  約14,800円  約16,700円
備 考  1) FDA-S1はLEDライト付きセットで、LEDライトなしは JJC FDA-K1という商品名です
 2) アダプターAとアダプターBはフィルタ径を52mm→62mmに変換しつつ延長します
   必要なら使用レンズのフィルタ径に応じた変換リングを準備します

 
 カメラやレンズの手ブレ補正は OFF [必須]にするよう、使用上の注意でも要求されています。ONのままだと画像がブレてしまいます。AFレンズのフィルタ枠に付けるには、ヘッドとフィルムキャリアが結構な重量ですから、基本に従い、カメラは下向きにしてセットします。また、下向きでないと、フィルムキャリアが動いてフレーミングが狙い通りなりません。LEDライトは取付けないで下に置くようにします。。。使用したマクロレンズは自重では伸びません
 
 いずれも、手軽に出来ると謳っています。いったん決定すればさほどいじる必要はないはずですが、できるだけ画面いっぱいのサイズになるよう、レンズ先端から原稿フィルムの距離をスライドさせ、傾きがないよう、再現性よく微調整して固定するのは、毎回となると難儀します。原稿フィルムが傾いてしまう原因は以下です。
 
(1)ヘッドの固定が充分でなく緩んでしまうのは、マスキングテープなどで周り止めが必要です。
 ・フィルタネジはあまりきつく締めると固着しますので、体裁は悪くともテープ固定が良いと思います。
(2)フィルムキャリアーのヘッドへの納まりは、ライブビューで確認します。
 ・キャリアーのストップ位置に遊びがあるので、左右にずれます。
 ・ヘッドのキャリアー挿入口に余裕があるので、キャリアーが傾きます。
(3)原稿フィルムのフィルムキャリアーへの納まりをよく確認してセットします。
 ・フィルムキャリアーの中で原稿フィルムが少し動くので、左右にずれたり微妙に傾きます。
 ・キャリアーの枠と撮影したカメラのフィルム枠がぴったり一致しないので、原稿フィルム微妙にずれます。
 
 これらの状況は、五十歩百歩です。しかし、固定ねじを緩めて、ヘッドを前後させたり傾きを調節するのですが、このガタはニコンのほうが少なくフリクッションがあります。JJCのデジタイザでは、固定ねじを半締めにして使うとニコンに近い感触になります。ニコンはフィルムキャリアーの押さえのスプリングも良い感触です。フィルムキャリアーは、JJCのキャリアーは内枠のコーナー部のRが気になります。全般的にぴっちり感が劣るように感じました。
 

 結果として、少し使い易いので、Nikon ES-2ばかり使ってしまいます。なお、フィルムキャリアーは、ES-2への適合を謳っているように、互換性があり、どちらを挿入しても問題はありません。Fマクロ 100mm F2.8を使う必然性は無いので、JJCのデジタイザに出番は無くなりました。
 

Nikon ES-2の使用例
      
K-S1で複写 K-1で複写


 

 手持ちの機材では、α7RII にマウントアダプター LA-EA4を介して、AF マクロ 50mm F2.8 Newが使用できます。K-1よりも少し画素数が多いので、デジタイズするのも一興です。
 ES-2を使用しましたが、得られるネガ画像は、Fマクロ 50mm F2.8を付けたK-1と変わりありません。同じように手ブレ補正を OFFにして使います。ライブビュー使い勝手が良いのはさすがです 。。。こうなると、マイクロニッコールPオート 55mm F3.5 も試してみたいクラシックレンズです 。。。試してみましたが、逆付けしないでの等倍撮影は、AF標準マクロレンズの等倍撮影のほうが優ります。
 
 ただし、α7RII にはソニー製デジタルカメラなどで撮影した画像を対象にしたImaging Edgeが添付されていましたが、ネガ・ポジ変換は絶望的でので、SILKYPIXを使うことにしました。
 

Nikon ES-2の使用例
        
α7RII で複写


 
 AFマクロレンズは等倍までしか寄れませんが、画面いっぱいのサイズの追及に、多少の妥協はやむなしでしょうか 。。。しかし、スライドマウントの内枠サイズまでは妥協はしたくありません。
 

 

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 更新日 : 2023・07・25.

 

      [メモ] フィルム複写のイメージ

 マクロレンズを使ってフィルムを撮影するイメージを示します。 K-1で、この図のように撮影できると、約5200 dpiのスキャンに相当します。フィルム写真をより高画質でしっかり残したいので、できるだけ画面いっぱいのサイズで撮影します。K-S1では、最高でも3860 dpiなので、周囲に余裕をとり過ぎると400-SCN024と逆転しかねません。


フィルムを撮影するイメージ

 このように、フィルムのデジタイズは、APS-C版と35mmフルフレーム版では画素数が違い、APS-C版は1.5倍まで拡大できたりします。その他にも、画面サイズ(寸法)とレンズの結像範囲に関係する諸々のことが影響しているはずですが、気づきません。

 フィルムデジタイズアダプターを使って。問題は、ヘッドをどこまで縮められるか。JJCのデジタイザーは標準マクロレンズで使うには長すぎます。。。世間の誤解の原因です

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      [メモ] フィルムキャリア

 JJC、Nikon いずれのフィルムキャリアでも同様の構造で互換性があります。
 400-SCN024で特筆すべきは、付属のフィルムキャリアは、3コマ毎に仕切られており、フィルム間ピッチのバラつきが気にならないところが、優れています。撮影時にフィルム間ピッチのバラついていてもいちいち修正する必要はありません。但し、「商品は廃止完売」で残念ですが、JJC フィルムデジタイズアダプターの差込口は小さくて入りません。デジタイズアダプター付属のフィルムキャリアの内枠は、実測で36.2mm×24.4mmでした。

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      [メモ] 110用フィルムキャリア

 Kenko テレシネDPアダプター KDP-01には、110フィルム用のフィルムキャリアが付属します。内枠が16.8mm×13.0mmとほぼ110フィルムの規格通りのサイズで取り込むことができます。クリックは効きませんが、ES-2の差込口にピッタリです。
 α7RII とAF マクロ 50mm F2.8を使うと下のサンプルからは、2600×3500px.程度の画像がトリミングして得られます。

 下のサンプルは、「ネガフィルム変換ツール」を使うと、変退色の影響によるのか緑色にカブってしまうので「グレーバランスツール」を使い、ポジ画像を得ています。

白色光で撮影したネガ画像例

ネガフィルム反転 緑にカブる

グレーバランス [続きはここ}
 なお、テレシネDPアダプターは名前の通り、8mm映画を映し込んでビデオ撮影したり、スライドやネガフィルムを静止画として、ビデオ撮影するアダプターです。中に度の強い2群3枚のクローズアップレンズが内蔵されていて中望遠にズームすることでスライドがいっぱいに映ります。ネガポジ反転が可能なビデオカメラで使うためダイクロックフィルターでオレンジマスクをキャンセルします。

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      [メモ] Kenko テレシネDPアダプター KDP-01を使う

 そこで、Kenko テレシネDPアダプター KDP-01を使って、大きな110版の画像を得られないか試して見ました。
 テレシネDPアダプター KDP-01は、ヘッド部分の他に、鏡胴(スペーサー)、クローズアップレンズを組み合わせて使うようになっています。そもそも、35mmフィルムや8mm映画をビデオカメラで録画するためのアダプターですが、応用例としてして35mmSLRで35mmフィルムのデュープの作成が説明されており、115mmレンズを使うとほぼ原寸になるそうです。なお、8mm映画をビデオカメラで録画するテレシネの場合は、光路長を揃えるのかスペーサーは使わないように指示されています。大きく写すためにスペーサーを省略してみます。
HD PENTAX-DA 35mm F2.8 マクロ Limited 使用
 
色補正フィルタなし   色補正フィルタあり
SMC PENTAX F マクロ 50mm F2.8 使用

 
 このサンプルの場合、トリミングして得られる画像のサイズは、35mm F2.8で2000×2700 px.程度と上段のコラムより小さくなります。50mm F2.8では3300×4460 px.程度とひと回り大きいのですが、ネガカラーフィルムでは画像を大きくしてもメリットはありません。
 この、テレシネDPアダプターを使ってのフィルムのデジタイズでは標準ズームレンズを使います。

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