作成:2000・02・27

  このホームページ作成で気づいたこと、ささやかな提案や希望、不満に思っていることなどの備忘録です。



      <SP-F修繕にかかわる独り言>

( 項 目 )
  たかが、開放測光・・・
  セールスポイント(その1)
  セールスポイント(その2)
  セールスポイント(その3)
  失念したわけではありませんが
  電池の寿命
  自分で使うものなら
  意外にも
  顧客満足度

2001・02・20
2001・02・22
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<SP-F修繕にかかわる独り言>


   たかが、開放測光・・・

 SP-Fでは、ESやESII と同様に開放測光のために絞りリングと連動する爪がマウント内にあります。標準レンズの一部、後期の完全自動絞りのオートタクマーや、その名前を代えただけの初期のスーパータクマーレンズだと、絞込みのピンがこの爪に当たって装着することができません。
 ですから、他社製のPマウントレンズを使うことの多い、俗にいう「M42マウント」マニアには、SP-Fよりは、SP、SPII がお奨めということになります。たかが、開放測光のために・・・

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   セールスポイント(その1)

 初期のSPFの露出計は、なぜか、セールスポイントのフォトスイッチ回路の基板が別になっています。露出計の回路は上等なガラスエポキシ基板でファインダーに付けられています。
 しかし、原価低減のほうはしっかり拍車が掛かって、すぐに露出計基板はフォトスイッチ回路と一体化したベーク製基板となり、ボディ側に固定されています。整線もすこし改善されて生産性も向上しています。
 ですから、初期のものとその後のSPFの露出計は、回路は同じでも、固定方法が違うので、ニコイチしようとすると、ファインダーブロック、ビスの指示ポストの交換必要です。そして、配線の長短にも悩むことになります。

 でも、なぜ、最初は別基板だったのでしょう。

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   セールスポイント(その2)

 SPは絞込み測光なので、絞り込んだ時だけスイッチが入ればよいのですが、開放測光のSPFの電源スイッチをどうするかは最期まで悩んだ形跡もあります。結局、SP-Fは、フォトスイッチを採用し、セールスポイントとした訳です。

 形跡のひとつは、ESやESII と同じようにシャッター半押しの時だけ電源ONにすることで、ダイキャストのボディは共通でビス穴も開いているのですぐに付きます。
 もうひとつが輸出用のSPII にあったホットシューのシンクロ切替えスイッチです。(輸出用SPII は、ホットシューのX、FP接点切替えが特徴)フィルム巻き戻しクランクの基部にスイッチを付けることで、トップカバーの巻き戻しクランクの基部にはその穴が残っています。SP-Fの20枚/36枚のフィルムメモがON/OFFになります。

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   セールスポイント(その3)

 しかしながら、変なところにあるスイッチを入れ忘れると、SP-Fのメーターは、電流が無くても+−の真中ですから、適正露出を指してしまいます。かと云って、露出を見るだけなのに、いちいちシャッター半押では不便です。ということで、どちらのスイッチも、いまいちです。
 そこで、苦肉の策か起死回生の策か判りませんが、フォトスイッチが登場したのではないでしょうか。レンズキャップを外したら電源ONになるというのは、斬新で受けも良さそうです。

 でも、レリーズのロックに連動させることは、あまり考えなかったのでしょうか。確かにスペースは苦しいのは解るのですが、これが正解だと思うのですが ・ ・ ・。

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   失念したわけではありませんが


 SPでは絞込みスイッチをONにし忘れたり、電池が入ってないと適正位置を指さないようになっていました。SPは、検流計(ガルバノメータ)ではなく、実際には電流計(アンメータ)を使用していました。SPの最初のモデルは、電源を切った時のオフポジションは中央でしたが、スイッチを入れ忘れた時に適正露出だと思い込んで失敗するというカメラ雑誌の指摘を取り入れて、1年後のモデルで、アンダーを指すよう改善したものです。

 ところで、SP-Fでは、メータのコイルが二つに分割された差動電流計が使われています。開放測光では、追針式にするか、メータを動かして定点式にするのが普通なのですが、SP-Fでは差動電流計を採用して定点式でメータを固定することを実現しています。
 これで、SP-Fでは電池が入っていないと、本当に電流ゼロの位置も真中となってしまいました。単に失念したのではなく、色々難しかったというのは解りますが ・ ・ ・

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   電池の寿命

 SP-Fには200mAh以上もの容量のH-D電池が指定されちます。それにもかかわらず、キャップを忘れると案外早く電池は消耗してしまうという話を聞きます。今回、手入れをしたSP-Fで確認してみました。LR44だと100mAh程度の容量ですが、それでも1ヶ月ぐらいかかります。それを、早いと感じるかか、充分と思うかは感覚の問題です。

 アサヒカメラの「ニューフェース診断室」にも指摘があります。しかし、その時のメーカ回答は、4ヶ月ぐらいは持つはずというのですが、計算が合いません。どうやら、回答者はテスターの測定値を1ケタ読み違えているようです。

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   自分で使うものなら

 SP-Fの場合は、ESやESII にはないものですが、レンズの位置検出用リングが動くと接地される接点が取付けられています。これは、SMCタクマーレンズを付けた場合に絞り込むと、シャッター速度を変えても指針は反応しなくなります。よく考えると余計なもののように思います。
 たまたま絞り込んでも変わない明るさというのがあるので、それが正常と誤解していて、絞り込むと指針が振り切れ、シャッター速度を変えても指針が反応しないので、壊れちゃったと悩んでご相談を頂いたことがありました。

 プレビューして撮影する機会はあまりありませんし、SMCタクマーレンズを付けて絞込み測光はしません。せっかく露出計の調節がうまくできたのに、納得できないものを残すのはイヤです。自分で使うものですから、この配線をつなぐのはやめました。

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   意外にも

 SP-FやSPII と、ESII では単に同じ部品が使われているだけでなく、異なる部品でも加工の途中まで共通化されています。ボディでさえ、必要の無いタップこそ立てられていないのですが、古いSPとは違う更新された金型でキャスティングされています。シャッターの棚板の穴加工も、同じ工作機械で開けられています。このような合理化努力の跡がたくさんあります。
 では、ESはどうでしょう。過渡期だったようで、使われているキャスティングはシリアルナンバーによって新旧混在しています。
 年表を見ると、たくさんのモデルが発売されているのですが、全てSPのバリエーションモデルです。アサヒは1964年のSP発売から、75年のKマウントのボディを発売するまで、実質的に1種類のカメラしか作っていません。 ・ ・ ・ 賢い経営です。

 その後は、いけません。種類を増しすぎました。それどころか、SPの末裔も整理していません。97年ごろのK1000終了まで、基本的には同じキャスティングのボディ、同じシャッター部品、フィルム給装部品を使い続けて来ました。 ・ ・ ・ あきれた

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   顧客満足度


 なぜ、異なる種類のモデルをたくさん作れるようになったたのでしょうか?

 それは、メタルシャッターのユニットの選択肢が増えたからだと思います。アサヒ伝統の4軸の布幕シャッターに限りませんが、横走りのフォーカルプレーンシャッターは、おいそれとボディの設計は変えられません。
 横走りのフォーカルプレーンシャッターは、性能も、精度も、生産性もメタルシャッターにかないません。 ・ ・ ・ 生産台数の見込めない、中判カメラなら、メタルシャッターはまだ普及していません。

 LXのチタン幕シャッターや、MXの布幕シャッターは、アサヒの設計陣の道楽だったかもしれません。写真を撮る道具として、シャッターに対するこだわりを理解してくれた顧客は、あまりいなかったようです。

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     更新日 : 2002・02・23.