作成:2000・02・27

  このホームページ作成で気づいたこと、ささやかな提案や希望、不満に思っていることなどの備忘録です。


      <ESII 修繕にかかわる独り言>

( 項 目 )
  修理サービスの打切り
  しかし・・・
  ESII の真価
  ESII の真価(メカニズム)
  ESII の真価(電子回路)
  それじゃあなぜ
  2タイプあるES


2000・10・07
2000・10・07
2000・10・07
2000・10・07
2000・10・07
2000・10・07
2000・10・07


  ES/ESII のサービスマニュアル(その1)
  ES/ESII のサービスマニュアル(その2)
  疑問が氷解しました(その1)
  疑問が氷解しました(その2)
  次のESII の修繕(その1)
  次のESII の修繕(その2)
  次のESII の修繕(その2)

2000・10・28
2000・10・28
2000・10・28
2000・10・2>
2000・10・28
2000・10・28
2000・10・28


  思い出しました(その1)
  思い出の継承
  ウェブオークション
  ESの謎(その1)
  ESの謎(その2)
  ESの謎(その3)
  ESの謎(その4)
2000・11・09
2000・11・26
2000・11・27
2000・11・27
2000・11・27
2000・11・27
2000・11・27


 





<ESII 修繕にかかわる独り言>


   修理サービスの打切り

 私が、アサヒの製品を懐かしむ理由の一つですが、つい一昔前まで、アサヒは、「部品を再製作しても古い機種の修理をしてくれる」というのが他社との違いでした。もちろん、現在はそんなことはしません。
 今の日本の物価や人件費からは、調べたり、考えたりして故障個所や障害の原因を突き止め、交換部品がなければ、壊れた部品を修復したり、代用品を工夫して修理しても、それに投入した対価は、とてもお客さんの納得を得られるものではないでしょう。もちろん、ささいな部品でも再製作なんてコストの上で許される話ではありません。
 ですから、修理は、故障原因の追求はそこそこにして、もっぱら新しい部品やコンポーネントの交換を旨として、部品の払拭、お上のご指導で決められた期間を経過したらサービス終了の宣言をして受け付けを止めてしまう。これが、サービスの提供方法としては、最も良心的な選択とならざるえません。

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   しかし・・・

 しかし、古い製品のユーザーには修理を望む理由があります。まず、高価な耐久消費財として買ったので、おいそれと不燃ゴミにするわけにはいきません。
 また、ユーザーにとっては使いなれた道具ですが、今は代替製品が見つからない場合があります。これは、好みの問題もあれば、今は、高級機種でも出来ない機能があるとか、付属品一式入れ替えることを強いられるといった様々な事情がからみます。
 そして、どうしようもないことですが、大なり小なり個人の思い出が詰まっているのです。

 特に、ES/ESII はこれらのうち、代替製品がないところが大きな問題だと思います。膨大なSMC-Tレンズがまだ健在であるにもかかわらず、その開放測光自動露光が出来るという特徴を活用できる代替製品が後にも先にもないのです。
 見た目はかくしゃくとしているにもかかわらず、オート不良という障害が発生すると悲惨です。機械式シャッターは1/60〜1/1000秒の高速側だけですし、オートマチックポジション以外では、電源スイッチすら入らないのです。
 しかも、生産台数が少ない割に骨董的な人気はあまりありません。したがって、需要が見込めないので、大手の修理業者も、基板やソレノイドの代替部品をオリジナルで作ってまでも対応することは出来ません。

 私は自分のSMC-Tの幾つかはずっと使い続けたいと思っています。まだ、持っていないレンズで欲しいものもあります。そして、それをESII で使うことが悲願です。
 自動露光シャッターの故障は、今使っているESII を10年前に購入した時も経験しており、その時は約1年間、どのように分解して怪しい部品をチェックしてよいのか判らず、悩んだ末に、結局は、大枚をはたいて修理に出しました。今回、壊れたESII を再甦してみて、長年の疑問に回答を得られたことも嬉しいことです。

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   ESII の真価

 このホームページを立ち上げたころ(数ヶ月前)ですが、カメラ修理で有名な長谷川工作所さんから、「ESII は大好きなカメラです。大切に使ってくださいね」というお言葉をいただきました。今回、改めてその意味が解りました。

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   ESII の真価(メカニズム)

 ES/ESII は、初めて開放測光・自動露光を実現した歴史的一眼レフということが有名ですが、たいへん手の込んだ造りになっています。例えば、アサヒとしては、初めてホットシューを付けたボディですが、きちんと感電防止の対策が採られています。

 さて、60年代に生まれたSPやSLは、きゃしゃで現在の基準では品質の良くない部品で作られてはいます。しかし、機械的なインタロックが考え抜かれていて、容易に部品を破損したり、被害が拡大しないように工夫されています。
 シャッターに指を掛けたままフィルムを巻き上げて、友人のペトリを壊してしまった経験がありますが、SPやSLでは考えられないことです。何かの拍子に、不具合が発生しても、その個所を復旧するだけで回復する可能性が大です。

 ESII は、そのSPの考え抜かれたメカニズムをそのまま踏襲していますが、それを構成するプレス加工の小さな部品の堅牢さと仕上げの質はずい分向上しています。スローガバナこそありませんが、ESII がSマウントレンズ用ボディでは、最もメカメカしいボディなのではないでしょうか。

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   ESII の真価(電子回路)

 ESII の基板は、ガラスエポキシ基板でシリコンワニスをかけてあり、通常は民生用には採用しない、かなり高級な造りです。そして、個別部品で作った回路が搭載された初期のESは別としても、電子回路は細かなバリエーションがあります。ESII の基板には、調整用の半固定抵抗が6個のものと7個のものがあり、ICなどの搭載部品のマーキングの有無や部品のタイプの違いもあります。頻繁に改善が加えられており、基板は、新しいものほど良質な部品が使われて、電流リークに対して改善が加えられているようです。
 ESII の機内配線は、ボディのアースを利用してESから配線量をかなり減らしていますが、コスト低減だけでなく信頼性の面で向上していることは明らかです。
 もちろん、資材調達や生産方法にはコストダウンが図られていますが 、回路そのものを合理化したりはしていません。

 要するに、造りは丈夫で丁寧に作られているので長持ちするはずなのです。私は、オート不良は回路故障を疑っていましたが、この点も認識を改めざる得ません。運がよかったのかも知れませんが、カビだらけの基板でも、オートでスローシャッターが切れるのには驚きました。

 残念なことに、基板上の6個ないし7個の半固定抵抗は、その目的と調整方法が皆目判らないので全くお手上げです。

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   それじゃあなぜ

 であれば、なぜ、ES/ESII の故障といえばオート不良というほどの評判がたってしまったのでしょうか?

 今回の場合は、オート不良の原因は、電磁石コンポーネントの出来具合というか、ガタ、狂いとかしか表現できません。実は、私には定量的に説明できないのです。
 ただし、電磁石コンポーネントの付け方は、力学上かなりアクロバット的と云わざるえません。小ビスと調節ネジの各1本で固定されています。片持ちの2点の固定点で偏ったところの力を受けることになります。スペース上の制約から不利は承知だったのでしょうが、私は、このような取付け方採ったところに直接的原因があると考えています。

 今回は、シャターの棚板も外さずに、我流で電磁石コンポーネントを交換しました。これをベストの位置に持ってくるのは大変な手数が掛かりました。ES/ESII の純正の修理マニュアルというのが存在するはずですが、そこにはどのように記載されているのでしょう。大変興味のあるところです。私も、あと何台か同じ事例のESII を直してみないと、自信を持てません。

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   2タイプあるES


 蛇足ですが、ESは個別部品で構成していたものを、ESII ではIC化したというのが通説ですが、実はES時代にIC化されて、実質8秒の長時間露光が出来るようになっていました。現物で比較したことはないのですが、ESのIC化した基板はESII でも使えるようです。

 真偽の程は判りませんが、プロダクトナンバー23107の初期型ESは、1971年の6月から10月に2315台、プロダクトナンバー23111のESは、1971年の10月から1973年3月まで107925台生産されたとのことですから、もしかしたら、ほとんどのESはIC化されていたのかもしれません。
 いずれにしろ、カメラ雑誌などに書いてあることをそのまま信じてはいけないという教訓です。(このつづきは、「ESの謎」へ)

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   ES/ESII のサービスマニュアル(その1)

 今回、ES/ESII のサービスマニュアル(リプリント版)を入手しました。ES/ESII のマニュアルのリプリント版というのは諦めていたのですが、存在したのですね。このマニュアルを譲って下さった方の話では、この一冊しか持っておらず、次にいつ入手できるか判らないとのことなので、頑張って競りましたが、入手できた嬉しさもひとしおです。
 なぜ、ESとESII が一冊になっているかというと、ESの初期型(プロダクトナンバー23107)は輸出されていないから、内容はESの後期型とESII に関するものなのです。とにかく、貴重な一冊です。

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   ES/ESII のサービスマニュアル(その2)

 このマニュアルは、ES(プロダクトNo.23111)のサービスマニュアルで、
分解時など修理のポイント、調整とチェックの方法のガイドが記載されているほかカメラの詳細な展開図とカラーの実態配線図、回路図、パーツリストが掲載されています。ESII (プロダクトNo.23117)に対しては、カメラの展開図カラーの実態配線図・回路図、パーツリスト、ESとの簡単な相違点を示すテクニカルリポートで構成されています。

 ESII は、ESのサービスマニュアルで調整するよう指示されています。ESII の配線図は異なる回路の2葉が掲載されていますが、時期的には、ESII 発売後の初期の段階で作成されたもののようです。さらに、ES/ESII の電子化された部分以外を調整したり修理するには、SP(プロダクトNo.23102)のマニュアルが必須です。50%以上の部品がSPと共通なのだそうです。

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   疑問が氷解しました(その1)<

 電磁石ユニットのロックピンの調整方法は、ESのサービスマニュアルに記載されていました。ただし、その方法はクリアランス管理であり、0.02mmにせよというものです。その場所は機械シャッターの一番下で、トップカバーを外しても殆ど見えない場所ですから、一旦、機械シャッターを分解しなければなりません。そこまでは良いとして、立体的なもののクリアランスですから、隙間ゲージを使って測るという訳にもゆきません。
 もっとも、こんなことを真に受けて調整する人はいないでしょう。おそらく、経験からこのぐらいという見当を付けて決定することになるでしょう。

 私は、そんなこと知らなかったものですから、全然違う方法で調整していました。でも、機械シャッターを分解しないで済みますし、時間をかけて求芯してゆくので、ベストのクリアランスになっていると信じています。

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   疑問が氷解しました(その2)

 前にも書きましたが、ESII の主基板には、6個の半固定抵抗を搭載するパターンのものと、7個の半固定抵抗を搭載するものとがあります。6個用のパターンは、コネクタエッジが金メッキされています。回路的には同じようですが、半固定抵抗が1個少ないところは、選別した固定抵抗で済ましています。
 サービスマニュアルには、ESの8個の半固定抵抗の調整方法が書いてありました。これで、長年の疑問が氷解すると喜んだのですが、6個でも7個でなく8個なのです。それも、写真でさえ見たこともない半固定抵抗のレイアウトです。後期型のESの初期には、8個の半固定抵抗を搭載した基板が使われたということのようです。

 今後は、これらの半固定抵抗で何を調整するのかは判りましたので、気長にパターンを追ってみて、どれがどの半固定抵抗なのかを明らかにしなければなりません。ネガフィルムを使っているとあまり気になりませんが、3台の露出のキャラクターが異なるのは気分が悪いので、露出計のゲインとオフセットの微調整をしてそろえたいと思っています。

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   次のESII の修繕(その1)

 今回のオート不良の修繕ですが、電磁石のコンポーネントの調整は2度目で馴れたので、半日できっちり8mAで後膜をホールドできるよう調整できました。ところが、主基板をさしてテストみると、オート不良は直っていません。良品のボディならこの基板は正常に動作するのです。旧タイプの6個の半固定抵抗を搭載した主基板に換えて試してみると稀にスローシャッターが切れます。

 あれ〜、どうしたことだ。コネクタを清掃しなくちゃ、リード線の断線か、それともこの基板のオン電圧が高いのか、・・・どうも違う。コネクタが微妙に変形してるのかなあ〜。

 後には引けません。このESII は、どうしても直さないといけないのです。・・・こうして深みにはまってしまいました。

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   次のESII の修繕(その2)

 とにかく、古い主基板なら、スローシャッターは切れるのだからと、気を取り直して、露出計のズレの原因を追求することにしました。

 怪しい部品から替えてみることにして、まず、新しいシリアルNo.のESII の開放測光用の擦動抵抗をみて多少がっかりしました。ブラシなどの導通部分の金メッキが省略されていること、抵抗皮膜に斜めに細い切り込みの溝を切ってトリミングしているのではなく縁の削り取りで行っています。大事に使われたにもかかわらず、抵抗皮膜はだいぶ荒れています。問題はここにもあるようです。(訂正:後から入手した
ESをみたところ、抵抗皮膜のトリミングの違いは生産時期には関係はなく、どうも部品を供給するベンダーによる相違のようです)

 反面、ビスをプラスネジにしたりスプリングを引っ掛けるパーツが追加されるなど、生産性の向上は進められています。新しいESII は、電気的な部品が洗練されてはいるのですが、ちょっと原価低減先行のところがあります。シリアルNo.が66番台の真中あたりが、最も故障知らずということになるのではないでしょうか。

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   次のESII の修繕(その3)

 開放測光用の擦動抵抗を替えてみたものの、あまり改善されません。そこで、次に換えたのはCdSセルの基板です。ここも、赤色のリード線が省略され、直接ボディにアースされています。これは、リード線の断線の可能性が少なくなるので歓迎される合理化です。というのも、交換して調子を見るため、シャッターを半押ししてみると、いきなり指針が振り切れてびっくりしました。きちんと導通を確認してから電池をいれるべきでした。

 ここまで来てやっと気づきました。メーターの指示に比べて、シャッターの音が随分早いのです。メモリブロックがリークしているのは明らかです。メモリブロックは、FETとコンデンサだけが搭載された簡単な基板ですが、樹脂で固められていて素子を交換することはできません。

 ついに、メモリブロックも換装してしまいました。こうなると、電磁石のコンポーネントとフィルム感度設定用の擦動抵抗、メーター以外の電子部品が部品取りのESII と入れ替わってしまうことになります。

 結果は、上首尾でした。さらに、どうしてもダメだった、主基板を戻してみました。もっともらしいシャッター音がするようになりました。オート不良と露出計のズレは、関係ないと思い込んでいましたが、同じ原因で生じていたのです。

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   思い出しました

 1台目に譲って頂いたESII は、裏フタの開け閉めのロックがスムースではありませんでした。これは、荷重が掛かったり、強く握ったりすると裏フタが変形してしまい、ロックのツメが擦ってしまうためです。

 ペンタックスの場合、裏フタを薄板のプレスで作った機種では、裏フタの変形はよく起こることです。ちなみに、ESやSPなどでは、極端な場合、巻き戻しノブがロックが外れるまで引き上げられなくなり、裏フタは開かなくなります。逆に、MEなどのマイクロ一眼レフでは、変形するとロックが外れやすくなり、度がすぎると閉まらなくなります。

 いずれにしろ、変形した裏フタを両手でそっと修正してやると元に戻ります。開かない場合どうするかって、張り革を少し浮かして、2本のビスを少し緩めて ・・・ こんなことみなさんご存じですね。失礼しました。

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   思い出の継承

 私は、「ESII の思い出」に書いたように、若いころESII は、就職したらぜひ買おうと思っていました。しかし、私が就職する前にアサヒはKマウントカメラに移行してしまい買いそびれてしまいました。

 今回の3台目のESII は、SMCタクマー50mmF1.4付ですが、その他に、ソフトケース、ストラップ、元箱のほか、小冊子型の「取扱説明書・ESII 」「タクマーレンズ」「アクセサリー」の3冊、ふたつの度調整レンズアダプター(-1、-2ディオプトリーで、ひとつは元箱に入っていました)が付属していました。この中のESII の取扱説明書と度調整レンズアダプターはなかなか入手しずらいものです。プライスタグやペンタクスファミリー入会案内、登録葉書、製品価格表こそ付いていませんでしたが4半世紀してやっと夢がかなった気持ちです。

 このESII を譲ってくださった方とのやり取りの中で、たいへん大切にされてきたこのESII にまつわる思い出まで伺うことができましたが、「ジャンク品」という言葉は一切使われませんでした。さらに、日本カメラ増刊(1974年11月発行の「ASAHIペンタックスの使い方」とスカイライトフィルターまで付けて頂きました。その方にとって、このESII は、完全に思い出の中だけのカメラになってしまいました。

 私の持っている中で、これが最も美品のESII です。

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   ウェブオークション

 修繕のページの材料(壊れたカメラ)は、全てウェブオークションで、入手したものです。現品を見ないで譲って頂くのは、「ジャンク」とはいえ不安があります。私は、出品実績などから、趣味や嗜好の脈絡がない方の出すものには、むやみに手を出さないようにしています。

 逸品からジャンクまで、サイドビジネス的にたくさん出している人や業者さんよりも、個人の場合のほうが、本当に脈のない「ジャンク」で、お目当ての部品が欠品で部品取りにもならないというリスクは避けられます。

 また、せっかくのウェブオークションなのですから、趣味の良さを伺える方を選んで入札したほうが、期待以上のものを譲って頂けるようです。また、その時に交わすメールでうかがうお話も楽しいものがあります。

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   ESの謎(その1)

 ESと呼んでいる機種について、改めてその歩みを振り返ると、1971年10月20日に国内で「ELECTRO SPOTMATIC」が発売されています。欧米への輸出は1972年になってからです。国内では「ES」という機種は発売されていませんが、これは、スローシャッターが8秒まで保証されていて、個別部品で構成していた電子回路がIC化されています。初期のESII と異なる部品は70個程度しかないようです。この「ES」は、72年の日本カメラショーなどで非公式に開示されたという記事もあります。

 前にも書きましたが、「The Ultimate ASAHI PENTAX screw mount guide 」によると、プロダクトナンバー23107の初期型「ELECTRO SPOTMATIC」は、1971年の6月から10月に2315台、プロダクトナンバー23111の「ELECTRO SPOTMATIC」と「ES」は、1971年の10月から1973年3月まで107925台生産されたとのことです。シリアルNoは、プロダクトナンバー23107のものが350万番台、プロダクトナンバー23111のものが550万番台と650万番台から採番されているのではないかと書かれています。

 私にできることは、シリアルNo.550万番台の壊れた「ELECTRO SPOTMATIC」を入手して、中を確認することです。

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   ESの謎(その2)

 譲って頂いた「ELECTRO SPOTMATIC」は、551万番台のシリアルNo.のもので、これこそ「ジャンク」というにふさわしいものですので、トップカバーがオリジナルのものかさえ疑わしいものです。そこで、次に譲って頂いたのが553万番台で、これは、機械シャッターが動くもので、オリジナルのトップカバーに間違いないようです。しかし、この553万番台のものの電子回路も個別部品で構成した基盤を搭載しているのです。

 はて、プロダクトナンバー23107と23111の違いはどこなのか判らなくなってしまいました。また、手元の「ELECTRO SPOTMATIC」は、サービスマニュアルや文献に描かれているIC化された「ES」とあまりにも大きな違いがあり、同じプロダクトナンバーとは思えません。

 とにかく、手元の551万番台と553万番台の「ELECTRO SPOTMATIC」でも、仔細にみると、色々な個所が異なります。

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   ESの謎(その3)

 手元の2台の「ELECTRO SPOTMATIC」で異なる個所ですが、まず、ボディ本体のダイキャストは、基本的に同じようですが、配線を通す穴が551万番台と553万番台のESでは異なっています。

 また、553万番台のESでは、ここに「ESII 」用のメモリブロックこそFETの頭の部分が当たるのでそのまま付きませんが、既にメモリブロックをボディ低部に付けられるようビス穴にタップが立てられています。
 バッテリーチェッカーのスイッチは、基板の上にバネ接点を付けた試作品的な造りですが、すこしは洗練されたものが使われています。

 そのような部品の相違が随所にあります。

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   ESの謎(その4)

 どうも、「The Ultimate ASAHI PENTAX screw mount guide 」のもっともらしい記述を鵜呑みにする訳にはいかないようです。国内向けには、「ES」は発売されていませんが、73年のESII 発売まで、IC化されていない電子回路の「ELECTRO SPOTMATIC」を併行して造り続けていたことは考え難いことです。そうすると、国内向けの「ELECTRO SPOTMATIC」もどこかで、中身が「ES」と同じになっているのではないかと考えられます。それは、いつからなのでしょう。

 私は、考古学的好奇心のため、とめどなく「壊れたES」を集めることは出来ませんので、このぐらいにせざるえません。

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     更新日 : 2002・02・20.