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ミラーが戻らない場合の手入れ
<SPのバリエーションモデル共通>


カップラーギアの汚れによってミラーが戻らない場合の手入れなので、頻繁に実施することはお奨めしません

 1.はじめに


 カップラーギア(ここではそう呼びます)についての説明は、1台目のESII の「点検結果の詳細」に書きましたので省略しますが、カップラーギアの汚れを清掃したり、注油してミラーが戻るようにした話を何度か書きました。

 「カップラーギアの汚れでミラーが戻らなくなる」のは、同じメカニズムを採用しているSPのバリエーションモデルに共通の問題です。ここでは、その手入れの方法に関して紹介します。

 2.症状の判断と手入れのしかた

 [症 状] この症状は、汚れや潤滑油(おそらくグリス)の硬化により、以下のように進行します。

(1)高速シャッター側が遅くなり、露出オーバー、露出ムラが発生します。
  但し、他の要因も考えられるので、これがカップラーギアの汚れによる障害とは断定できません。

(2)シャッターを切ると鳴き(うなり)が発生します。
  経験してないと、これがカップラーギアの異音とは判断できません。

(3)進行程度により異なりますが、ミラーが戻らなくなります。
  その後、巻き上げが出来てシャッターだけは切れるのが特徴です。
  ・たまにミラーが戻らないことがあります。数回シャッターを切ると戻ります。
  ・姿勢によっては、ミラーが戻らなくなります。姿勢を変えてシャッターを切ると戻ります。
  (2台目のElectro Spotmaticの場合)
  ・全然ミラーが戻りません。(1台目と4台目のESII の場合)

ただし、部品取りにした2台目のESII のように、幕そのものにダメージがあって、後幕の負荷が大きくなっている場合も同様の障害が発生します。



 [手入れのしかた] 底フタを開けて、ES/ESII ではさらに基板を外して、カップラーギアの清掃と注油をします。

ここでは、少々乱暴ですが、スプレー潤滑油で済ましています。リスクはありますが、この方法を紹介します。

(1)テイッシュペーパーを縒ったもので2〜3周このギアの回りを囲み、油の飛散や拡大に備えます。

(2)ストローのような付属ノズルをスプレー口に付けます。 ・・・ ほんの少量、1秒程度、噴射します。

(3)油が回ったのを確認して、ギアの周囲の余分の油と汚れをテイッシュペーパーに吸わせて、これを取り去ります。
  あまり、神経質にギアの歯を清掃しないところがミソです。

(4)何度か巻き上げてシャッターを切ってみます。
  ミラーが戻らないといった障害が、うそのように消えたら成功です。

(5)油で濡れているところがないか確認し、あれば綿棒などでふき取ります。


ポイントは、油の飛散・拡大の防止です

洗浄油を含ませた綿棒などで汚れをふき取り、清浄な油膜(おそらくグリス)で覆ってやるといのが正解だと思います。
しかし、ハケ塗りが出来るぐらいに希釈した、薄いグリスがあるとよいのですが、どうやって調合したらよいか判りません。尚、サンハヤトの「アルファルーブ」という潤滑油にはハケ塗り用があります。



[備 考]
使い込んでカップラーギアの当たりが出ているのならば、あえて分解するよりも、この清掃と注油をして使うのが上策だと思います。
しかし、カメラの手入れとして、頻繁にやるのがよいかというと、とんでもないところに油が進入したり、配線を切ってしまったりとそれなりのリスクを伴います。
ですから、高速シャッター側の露出ムラや露出オーバーだけで、この手入れを試してみることはお奨めしません。やるにしても、5年に1度ぐらいでよいのではないか、と云うのが私の実感です。

私の使っているスプレー潤滑油は、サンハヤトの「マジシャンオイル」ですが、今は、10年前に廃番になったそうで、在庫限りといった状況です。
CRCとの違いは、油分が少ないようで、使用後に「油でびちゃびちゃ」状態になりにくいという印象です。それに、ココナッツのような香りがします。ネジ外しのため、10年以上前に買ったもので、渋い鍵穴や、ハサミの手入れとかにも使っていたのですが、まだ使い切っていません。
尚、サンハヤトの現行の潤滑材は「アルファルーブ」で、スプレーだけでなくハケ塗りもあります。潤滑性能、油膜の安定性がよく、無臭だそうです。効能書きを読むと、ぜひ使いたくなりましたので、こんど秋葉原に行ったら買ってこようと思ってます。

 右:アルファルーブ (ハケ塗りタイプ)
 左:接点復活王 (ハケ塗りタイプ)
 いずれも、一番小さい 20ml ビンです。
 スプレータイプもありますが、カメラには
 こちらがお奨めでしょうか。

 

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 作成日 : 2001・01・23.
 更新日 : 2001・02・05.