ちょっとだけ Before & After


 思う存分ということで、時間をたっぷり頂いたのですが、主な作業は最初の1週間で、あとはメイクアップと調整のやり直しでした。

 お手入れをして失敗したことなどを Before と After とうことで白状しておきます。


巻上げレバーのビスは錆び付いて、頭もなめていて回らないので、リューダーで削って外しました。 (^_^;)




Before

After
シャッターメカ部の錆と汚れの状況ですが、S2やS3ではこの程度は普通で、好調に動作しているものも多いです。
試しに、ここに潤滑油をぶっかけたら、シャッターの鳴きは解消しました。
でも、極細のバネが錆びて切れてしまっているとアウトですし、偏芯カムが鉄製でさび付いていると問題です。

錆びて怪しいバネは巻上げインジケータのものだけ。このS3は初期のもので、偏芯カムはステンレス製なので、問題ありませんでした。
せっかくですからと、パーツは念入りに清掃したところ、先人が付けた合印のケガキが各部に現れました。
おかけ様で、組み立てはとてもらくちんでした。


Before

After
シャッター幕は、光線漏れはありませんが、巻きぐせで固まっていて悲惨な状態でした。このS3は、ゴム引き面を軸に貼ってありました。

もちろん、交換します。実は、今回は、到着前にシャッター幕を準備していたのですが、後幕が準備していたものより10mm長くて、最製作しようか思案したんですが、そのまま、新しい貼り方で行きました。
準備した幕のスリット金物はアルミの手製なので、ちょっと塗装が不細工です。黒アルマイト処理したアルミ板が欲しいところです。




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総括 : このS3の余生

 このS3のセッティングと使われ方では、ひどく痛んでいても不思議はないのですが、毎年のオーバーホールを欠かさず、いつも絶好調だったことでしょうね。
 でも、スピルギアの摺動部やキーはだいぶ磨耗していますが、まだ大丈夫だと判断しました。
 巻上げるきの姿勢によってミラーアップしてしまうので、点検していったらミラーの復元スプリングが折れてしまいました。クラックが進行していたんですね。
大昔のアサヒのメカニズムはひとつの部品の破損が次の破損に連鎖するというがない(代わりに動かなくなる)よう配慮されているのが特徴です。

 使える状態にはなっていると思いますので、たまには、撮影に使ってもらえるでしょう。


反省 : テンション

 シャッター幕のテンションは、まず、元のままにしてみました。幕を変えてメカニズムを手入れしたら、けっこうスパルタンな幕速です。このS3のメカニズムでは、この程度の無理は平気ですが、試写をしたところ高速が早すぎます。
 それで、そこから、0.5回転さげたテンションにしています。同じEVでシャッター速度と絞りを変えて、ネガ濃度がそろって写れば良しとします。ほんとうに、そうなっているかが自信のないところです。


反省 : 巻上げ感触

 空とフィルムが入っているときで多少違うんですが、フィルムカウンターがカチッといったところでは不足で、確実に巻上げないとレリーズできません。スピルギアの調整でトライしたのですが、ちょっと気難しいのが残念です。
 トップカバーの巻上げレバー部分は、変形を修正した跡があります。現役時代のオーバーホールでもこのへんは悩みだったようで加工跡があります。当時ならトップカバーを換えることも出来たのでしょうが、職人さんの、早く、安くという良識が伺えます。


反省 : シンクロ

 ストロボを付けて、スイッチを入れたらシビれました。対策として、底板の裏側にスコッチテープを貼りましたので、たぶん大丈夫だと思います。
 ストロボですが、後幕が閉じてから発光することがあり、いろいろ手間取ったところです。これも、たぶん大丈夫というレベルです。


追伸 : シャッター幕のどちらがわを貼るか

 今回のS3は、長い幕のゴム引き面を軸に貼ってありました。APやKあたりまではこのように貼られていたようですが、はがれ易いので布地側を接着するように改められています。しかし、ゴム引き面は滑り易いので、ローラーを通るところでは有利な理屈です。
 今回は、オーソドックスに布地側を貼りました。ミラーボックスの手入れをしたら、せっかく交換した幕を、油でちょっと汚してしまいました。