作成:2002・06・24

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。
蒼い森の午後


コニカFTAのうんちく

 今の常識では信じられないかも知れませんが、30年ぐらい前までは、カラーフィルムを使って肌色がちゃんと再現されるように撮影するのが、素人にはひとつのハードルだったのです。赤がきれいなさくらカラーというのが評判で、私も、フジフィルムを百恵ちゃんが宣伝するころまでは、さくらカラーを好んで使っていました。
 交換レンズやアクセサリーの充実した一眼レフに自動露光(EE)を採用することは、日本のカメラマニアには受け入れがたいことで、プロ向けにもファミリー向けにもあまり人気がありませんでした。

 私が、最初に自分で買ったカメラが、52mmF1.8付のコニカFTAでした。機械式のシャッター優先の自動露光が特徴でも、それはオマケで、カタログを見る限りでは、開放測光方式、バヨネットマウント、ファインダー内表示など先進的な内容でした。
 でも、使ってみての魅力はそんなことよりも、標準レンズの教科書のようなAR52mmF1.8、みえの良いマイクロプリズムのファインダー、コニリールという単純で確実なイージーローディング方式が挙げられます。結局、経済的余裕が無かったこともありましたが、飽きずに20年ぐらい使いました。


AR52mmF1.8

 今回、手入れしたAR52mmF1.8とAR50mmF1.7ですが、色々疑問がありました。まず、本当に画角の差があるのか、描写やカラーバランスはどうなのかです。で、比較をしてみました。

 画角の差はちゃんとありました。それが、2mm分なのかどうかは解りませんが52mmのほうが、大きく写ります。 描写のほうは、判別が付きません。AR52mmF1.8のカラーバランスは、買った時から若干赤いと思っていましたが、肩すかしをくらいました。今回は、思ったよりニュートラルで50mmF1.7と大差はありません。他社のレンズに比べれば、やはり暖色系というのがコニカの伝統なのでしょうか。
 描写も大変よく似ていて、見分けが付きません。開放から中間絞りでの柔らかな質感描写が魅力です。絞れば広角レンズのようにパンフォーカスが可能で鮮明です。コントラストは開放からしっかりしています。標準レンズの教科書のようなレンズだと思います。
 気になったのは、露出計連動機構や自動絞りの誤差による明るさの差です。半絞分りぐらいの差がありました。ネガフィルムなら、なんてことはないのですが、リバーサルではクセを把握しておかなければなりません。


AR50mmF1.7

AR52mmF1.8

 ボディのFTAは、使い倒したもので、ファインダーの清掃(プリズムの保護テープの粘着糊が蒸発してプリズムなどが曇ります)とか、注油などをしながら使い続けました。けっこう乱暴にも扱いました。夏山でレンズ交換をするたびにミラーが曇るのですが、汚れた軍手でぬぐったり、ザックから落としてフィルムが巻けなくなったこともありました。電池室の接点が外れて、ハンダゴテでプラスチックを溶かしてくっ付けたこともあります。
 私の鼻息が結露して霜がついたりしていたのですが、10年ほど前に、ついに、シャッター羽根(幕)が錆びて動かなくなったものです。油を吹いて誤魔化していたのがたたって動かなくなり、ダメになってしまいました。修理に出したのですが速攻で返却され、そのままになっていました。

 今回、丹念に清掃、手入れをして動くようになりました。その他、気になるところが幾つかあるのですが、とりあえずAR200mmF3.5の試写が先決です。清掃をして、丈夫でキズの付きにくい梨地メッキに感心しました。ちょっと貫禄のFTAです。

 AR52mmF1.8も手垢とカビまみれです。レンズのカビは15年ぐらい前に発生しだしました。そのまま使い続けましたが、10年間からボディとともに退蔵されていました。
 AR50mmF1.7は、昨年キタムラのジャンクコーナーから500円で連れて来たものです。小カビはあったのですが、問題は絞りです。マウント側からグリスが回って、絞りが固まっていて動きません。

 レンズのほうの分解をしてみて感心したのですが、200mmも標準も小さなロックビスを1本弛めると一気に前群の分解が出来るのです。標準は飾りリングを外すとこのロックネジがありますし、200mmは最短撮影距離まで繰り出すとこのロックネジが現れます。大柄な鏡胴設計が許されるためとは云え、タクマーに比べると、たいへんらくちんです。


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ちょっとネジネジ

 レンズの簡単なカビ清掃ということで、要点だけ、ご報告します。興味のある方はご覧下さい。鏡胴のゆったりした設計のヘキサノンレンズは、たいへん簡単に分解・組立てが出来ます。要は、たいへん生産性が良いということです。
(デジカメ画像がきたなくて申し訳ないです)


 AR200mmF3.5

  このロックネジを外します。(上)
  あとは、全部ビンのふたです。
  フィルタ枠とフードが外れます。(右上)
  前群のレンズホルダが外れます。(右下)
  レンズホルダもビンのふたで、中のレンズを
  出すことが出来ます。

  標準レンズ

まず、飾りリングを外します。
外し方はタクマーレンズと同じです。

新しい50mmF1.7の飾りリングはプラスチックでした。

そして、小さなロックビスがひとつありますから、これうを弛めます。


フィルタ枠が外せると、前群のレンズホルダが外せます。

さらに、絞りの粘りがある場合は、
絞りの押さえ板が3本のビスで止めてありますので、これを外して絞り羽根をバラして、回り込んだ油を洗います。


後群ですが、マウントの4本のビスを外します。

AR52mmF1.8は、後群のレンズホルダが外せました。

AR50mmF1.7は、レンズホルダになっていないよう
で、一番後ろのフタみたいな押さえリングを外すと
中のレンズが出てきます。

レンズサッカー(吸盤)が必要で、私は電子部品用のピックアップツールを使っています。