作成:2003・12・31

 



このたび、気分をリフレッシュするつもりで、フラットベッドスキャナを EPSON GT-7600からEPSON GT-X700に更新しました。昔は、FUJIX FOTVISION FV7とビデオキャプチャーカード使ってTV画質の画像でネガを取り込んでいましたが、ネガもスキャンできるフラットベッドスキャナGT-7600を4年前に導入。大喜びで使い始めたのですが、だんだん不満も出てきて、ネガを取り込むのがおっくうになってきました。

そもそも、フラットベッドスキャナをネガ取り込みに使うというのは、実に貧乏っちいのですが、私はとてもフィルムスキャナなんて買えません。
フィルムスキャナとフラットベッドスキャナは、そもそもホンダNSXとフィットの関係みたいなもので、無邪気な比較検討をしても始まりません。とにかく、買えないものは買えないのです〜。(泣

私にとって、GT-7600からGT-X700へ換えた感想は、20年前の軽から最新のフィットに乗り換えたように快適で、申し分のないものでした。

GT-X700は、単に4800dpiで取り込めるフラットベッドスキャナとして投入されただけではありません。とにかく、CanoScan 9900F で出来ることはなんでも、という意地みたいなところが感じられます。

この非力なWin98SEマシンでは1コマを4800dpiでスキャンするのに6分、シャープネスフィルタ、ホコリ除去、粒状補正をONにすると80MBものファイルを操作することになり、1コマ20分ぐらいかかります。
要は、PCのOSやマシンパワーに応じた使い方をすれば良いのですが、GT-X700本来の機能を発揮させるには、そこそこのPCが必要です。

私、K-6-(3)は、愛着があるんですが 。。。





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興味のある方は下へスクロールしてください。



[スキャンはらくちん]
まずドライバをRev.2.0cに更新して、取扱い説明書を見ながら24コマのネガをセットして1200dpiでスキャンを開始して待つこと20分。
GT-X700は、USB2カードを追加したたWin98SEマシンにもかかわらずフリーズすることもなく、最初からきれいに取り込めるのには感激しました。
GT-7600ではネガフィルムを取り込むにコツをつかむのには相当な時間が掛かりましたし、1コマごとにあれこれ悩んでスキャンするので、24コマを取り込むのは半日がかりの作業でした。

GT-X700の4800dpiというのも魅力です。もちろん、私はそんなサイズでの取り込みはしませんが、4800dpiのご利益はちゃんとあります。
GT-7600では、鮮明さに不満があり、1200dpiで取り込んだ後は、アンシャープマスクを掛けないと、締まりのない画像になってしまうのですが、GT-X700で1200dpiで取り込んだものは、全く申し分がありません。
GT-X700はスキャン段階でアンシャープマスクも粒状低減機能も効かすことが出来るようになっており、好みに応じてON/OFFしておくことも出来ます。
しかし、1200dpiでは、「中」段階でアンシャープマスクを掛けても、ほとんど効果は感じられませんでした。

初めて、全くオートで処理無しでスキャンしたものでですが、そのうちの8カットを、あえて未調整でそのまま(サイズは縮小してます)掲載します。

画像をクリックすると大きな画像(約100KB)を表示します。





[気になっていたところ]
いずれも、いまさらと笑われてしまうようなことなので恐縮です。私が気にしていたところ改善点を確認しました。

私は、12コマでもいいのですが、GT-X700では、24コマいっぺんにスキャンすることが出来るようになりました。
従来のGT-9700やGT-9800においては、12コマいっぺんにスキャンすると、暗いところを勝手にトリミングしてしまうという難点が指摘されていました。
実は、これが改善されたというのも、GT-X700への更新を決断した理由です。


このような濃度差が大きな絵柄の写真で真価を発揮します。

今まで使っていた、GT-7600では極端な濃度差があるところでは、ガラスに反射した輪郭がネガの濃いところに青や紫のゴーストのように写りこむ現象が発生して困っていました。(左写真の右端参照)
これが、全く気にならなくなっています。
これはGT-X700では、光源が面光源でなくスキャンに合せて移動させるようになっているのと、深度の浅いレンズになっているのが奏効しているようです。
実に、この点が改善されたのは良かったと大喜びしています。

 
左 GT-7600によるスキャン        右 GT-X700によるスキャン
上2枚をもう少し拡大して比較してみます。→ ここ



[印刷物のスキャン]
本来のフラットベッドスキャナの使い方ですが、GT-X700でA4サイズの印刷物を300dpiで取り込んでみました。
このような使い方ですと、5年前のGT-7600と性能に差は感じられません。現在の最上位機の魅力は、スキャン時間が短いことに尽きます。

  
左はカラリオスキャナのカタログの表紙です。右にその一部を原寸で表示します。

カタログも著作物なので、掲載にあたってはモザイクを掛けさせて頂きます。
カタログは電気屋さんで頂くか、エプソンのWebでpdf版をダウンロードしてください。




[オートの画質]
オートでの、濃度、コントラスト、カラーバランスは、基本的に大ハズレとは思えません。むしろ、その優秀さはGT-7600とは雲泥の差です。
しかし、個人的な好みといえば、それまでですが、ちょっとハデ目な仕上がりを狙ったセッテンィグになっているようで、同時プリント的な仕上がりなのが残念な気がします。
オートでの、濃度、コントラストは、締まった感じになりすぎることがあるようです。絵柄によっては、あれぇ〜と困惑します。
カラーバランスは、絵柄によってはハズすことがあります。「EPSON Scan」(TWAIN)のバージョンアップでの改善に期待したいところです。
ただし、「イメージ調整」で調整してスキャンできますし、画像ソフトを使用して、好みに合せて簡単に修正できる範囲ですので、問題はありません。

ちょっと極端かもしれませんが、オート設定でカラーバランスをハズした1カットを例に挙げます。


    

左はオートのまま 中と右は「イメージ調整」でカラーバランスやコントラストを調整してスキャンしたもの。
さらに、右は、シャープネスフィルタ、ホコリ除去、粒状補正 全て「中」にしてみたもの。





こんなところにゴミが ・・・ ということで、次のお話です。




[ホコリ除去機能と Digital ICE]
従来のカラリオスキャナの場合、ホコリ取り機能はソフト補正で、消してはいけないものもゴミと誤判定して除去するんじゃないかとか云われてましたが、「Digital ICE」という機能がGT-X700には追加されています。
GT-X700では「ホコリ取り機能」も「Digital ICE」も、効果を3段階で選べます。

そもそも、引き伸ばしをするにあたっては、まず、ゴミや指紋を付けないよう注意する、常に部屋は掃除しておく、徹底的にホコリを吹き飛ばしてからネガをセットするなどは、初歩的な常識で、こんなものに頼るのは軟弱というものです。

しかしですよ、1コマずつならともかく、24コマをいっぺんにとなると見落としが発生してホコリを完全に取り除いてセットすることは難しいのです。軟弱者にはたいへんありがたい機能です。

このホコリ取り機能の充実というのも更新を決断した理由でした。

で、どんな具合に補正してくれるのでしょう ・・・ 。

4800dpiでスキャンした画像の一部(原寸)

シャープネスフィルタ、ホコリ除去、
粒状補正 全てOFF
シャープネスフィルタ、ホコリ除去、
粒状補正 全て「中」
Digital ICE のみ「中」

従来の「ホコリ除去機能」の痕跡は、まさに、紙焼きした後でスポッティングをしたようです。それも、人間ワザとは思えないような精密なスポッティングです。
それに比べ、「Digital ICE」の痕跡は、より自然です。しかし、まだ完全には取りきれてはいませんね。効果「中」での結果でした。




[サムネイル取り込み領域]
黒フチ付の取り込みとか100%範囲とか、実は気にしていたんです。サムネイル取り込み領域は、3段階に調整可能ってことになっているんですが、見つけられなくて、一枚づつ範囲指定で取り込むしかないのかなぁって諦めていました。
ちゃんとありました。[環境設定] [プレビュー] 「サムネイル取込領域」というスライドレバーがそれでした。連続可変ではなく3段階しかありません。

「大」38.4×26.7mm 「中」36.2×23.6mm 「小」35.6×22.2mm

「大」「中」「小」の取込領域は、何mm×何mmと決まっているわけでなく、プレビュー時に解析して決めているようです。なので、将来的には連続可変になるかも知れません。
尚、「大」では、大幅にカラーバランスが崩れます。光の通らないマスク部分や素通しのフィルムベース部分も含めて露出やカラーバランスを設定しようとするからで、これも、「EPSON Scan」のバージョンアップで改善されるかもしれません。




[ピント面]
ほんとかなぁと思っていたことがあります。GT-X700は、印刷物などの反射原稿のスキャンではガラス面、透過原稿すなわちフィルムのときは、ガラス面より+1mmのところに焦点を移動するというウワサがあります。
せっかく買ったんですから試してみましょう。

同じネガを、フィルムホルダーセットした場合と、ガラス面に直置きでスキャンしました。そんなことしたら、ニュートンリングが発生する ・・・ 私は、GT-7600の時から、乳剤面を直接スキャンして、後で裏返しにして使っています。
結論から言うと、フィルムホルダーセットするより、ガラス面に直置きのほうがピントは来ていました。私のGT-X700は、ウワサのような器用なことはしていません。

付属のフィルムホルダーを使用



↑ クリックすると
4800dpi原寸を表示

ガラス面にフィルムを直置き



↑ クリックすると
4800dpi原寸を表示


「アンシャープマスク」「粒状補正」「ゴミ除去」「Digital ICE」全てOFFで、露光もカラーバランスもオートです。
上2枚をもう少し拡大して比較してみます。→ ここ
明らかに、ガラス面にフィルムを直置きしたほうが、シャープです。但し、「アンシャープマスク」を有効にしたらほとんど判別できない程度ですね。




[課題など]
当面の私の課題は、GT-X700を、もっと使いこなすこと。精通することです。
「粒状補正」は、好結果を得られた例がなく、今回は省略します。あまり使うことはないとは思いますが、そのほかに、「変退色補正」があります。

尚、画像ソフトはフォトショップ Element2.0が添付されていますが、私はペイントショップ派(=非力なPC派)なので、有り難みが感じられません。
私は、ペイントショップ6(現行は8)を使っているのですが、ペイントショップが軽いおかげで、Win98SEでもフリーズを免れているのかも知れません。
もちろん、ドライバは最初からダウンロードした最新版(フリーズ対策が強化されているそうです)をインストールしました。

仲間内の先輩から450MHzのマシンじゃ、スキャンより画像のデータ処理時間が圧倒的だから、USB2カードのご利益がないじゃんという、鋭い指摘がありました。ごもっともです。
外付けドライブが使いやすくなるからいいんだもんね ・・・ 負け惜しみ

価格ですが、GT-7600の時は、家電量販店で本体29,800円、透過原稿ユニットが8,800円でした。
今回のGT-X700は、家電量販店では見るだけで、価格.comの上位ランクの通販で36,780で買ったのですが、手数料や送料を加えても、4年前よりちょっとだけ安かったことになります。
ものによっては、家電量販店では見るだけ。そうゆう時代なんですね。




[独り言]
モニタ環境から要チェーック。