作成:2021・01・11


お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


 

 3.SMCタクマー 28mmF3.5 と 前期型 スーパータクマー 28mmF3.5


前期型 スーパータクマー 28mmF3.5 と SMCタクマー 28mmF3.5
新製品案内のチラシの裏面には旧品からの改善点が切々と書かれています。
なるほどと思うところも、さほどと思うところあります。
 
 プリセット絞りやオートタクマーには28mmレンズは存在しません。まず、前期型 スーパータクマー 28mmF3.5が1962年に登場し、コンパクトな後期型 スーパータクマー 28mmF3.5に1966年に交代し、1971年に同じ光学系でSMCタクマーに発展しました。

 前期型のスーパータクマー28mmF3.5は、俗にファットタクマーといわれ、フィルタ径は58mmで、24mmF3.5と大差のない大きさです。最小絞りがF22からF16と進化します。開放でこそわずかに周辺光量の低下がありますが、開放から鮮明で、絞ってもあまり変わりません。歪曲収差は気にならないクセのない写真が撮れる素直なレンズです。
 後期型のスーパータクマー28mmF3.5とSMCタクマー 28mmF3.5は、しっかりした階調の鮮明な写真が取れるレンズで、少し絞って使うと、周辺光量の低下も改善され、描写も一段とクリアになります。歪曲収差は気になりません。後期型のスーパータクマー28mmF3.5の新製品案内の文面から、コンパクト化と光学性能の向上は、相当な意気込みだったことが伺えます。
 前期型 スーパータクマー 28mmF3.5は、さほどの流通量はありませんが、後期型 スーパータクマー 28mmF3.5とSMCタクマー 28mmF3.5はたくさん流通しており、おすすめのオールドレンズの常連です。


 

SMCタクマー 28mmF3.5の試写



SMCタクマー 28mmF3.5 試写


 何の変哲もない風景で恐縮です。絞りは開放で撮影した写真をリサイズしています。まず、シャープネスの良さには驚きます。解放でもα7RII の画素数を充分に満足しています。暗めのレンズなので、二線ボケとコマ収差は探しても見つかりません。
 開放の近接撮影だと、SPやESII のファインダー視野外の四角が崩れますが、少し絞ると解消され、さらに、シャープネス、コントラストと彩度も一段と向上します。直線の多い建築物でも、歪曲収差は個人的にはあまり気になりません。

 お勧めのオールドレンズの定番で、たくさんの試写が公開されており、このレンズをあれこれ論評するのは控えたいのですが、その実力に納得です。

 α7RII では、周辺光量の低下は目立たないようで、意匠によっては画像ソフトで調節が必要かもしれません。今まで、ピクセル等倍まで拡大するのは、パープルフリンジがイヤで気が進みませんでしたが、ここでは、空を背景にしているのに発生していません。それだけでも、このボディの真価を感じます。


ピクセル等倍画像 (部分)

 

前期型 スーパータクマー 28mmF3.5の試写



前期型 スーパータクマー 28mmF3.5 試写


 拡大してみると、開放でも画質の破綻はなく、α7RII の画素数を満足しますが、残念なことに、顕著な倍率色収差がシャープネスを損ねているようです。しかし、写真全体ではタクマーレンズらしい描写を楽しむことができます。

 この個体だけかもしれませんが、K-1では、開放で四隅にフィルタ枠にケラれたような光量低下があることがありましたが、今回は確認できませんでしました。
 α7RII では、周辺光量の低下は自然な感じになるので気になりません。周囲は多少崩れますが、少し絞ると解消され、さらに、シャープネス、コントラストと彩度も一段と向上します。歪曲収差は個人的にはあまり気にならないレベルです。

 FATタクマーを継投した後期型スーパータクマー28mmF3.5の新製品案内には、小型化と光学的な高性能化が謳われており、少しだけシャープネスとコントラストが良くなっていると納得します。
 FATタクマーは、希少性からもてはやされているのかと思われます。


ピクセル等倍画像 (部分)
 
 AF感度は、前期型スーパータクマー28mmF3.5がAF感度が多少良いようですが、いずれのレンズも、開放からF8程度までが実用的に半押しAFでもピント合わせができる範囲です。
 前期型 スーパータクマー 35mmF2.8、SMCタクマー 28mmF3.5いずれも、絞り羽根は5枚です。いずれのレンズも最短撮影距離は40cmですが、LM-EA7の繰り出し量で充分カバーできます。

 

このα7RII (FW Ver.4.00)とLM-EA7(FW Ver.6.0)での動作なので、記載内容が再現しない場合はご容赦ください。このレンズを取付ける中間アダプターは、Sマウントレンズなので YIYO M42-Mマウントアダプターを使用しています。
 

前へ   目次   次へ


   更新日 : 2021・01・11.