つぶやき

ブツクサ \(*^o^*)/やったー と (/_;) グッスン の繰り返し

 

 持ち主にはメールで状況を連絡していたのですが、写真を付けなければならなくなってきたので、このページ「はじめてのKのお手入れ」をつくりました。 私信部分は書き直したほうが良いとは思うのですが、そのままも面白いかも。ちょっとだけブラシアップしました。 話し言葉そのままとか、タメぐちの部分とかは、なかなな直しきれません。


K  ぴかぴか  タクマーの精霊たちよ  このKに祝福あれ

 「持ち主のところにお返しする時がきました。はじめてのKのお手入れ。その過程で撮影した試写が思い出となって残りました」 ・ ・ ・ なんちゃって、ですよ ・ ・ ・ すんなりお返しできた訳ではありませんでした。

 到着のメールが「たすけてー」でした。1/125秒以上がバルブ状態だそうです。例の蹴っ飛ばしレバーの当たりはシビアだったからなぁ。厳重に梱包したのに輸送の振動やショックでズレちゃったかなぁ。

 もっとも、相手は、わが会友です ・ ・ ・ こんどはトップカバーを開けられるようになったよね ・ ・ ・ そのレバーをちょっと押し付けて ・ ・ ・ で済みました ・ ・ ・ (汗;




Kはキングか

 たとえば、KはキングのKで、大変上質な作りというのが評判で、今でもKに人気がある理由だと思います。
 もちろんAPと比べるとKのほうが高機能に改善されていますし、外観の鍍金の仕上げはとても上質です。しかし、APに比べるとKは、部品の加工や材質が落されているところもありました。生産する上では、無駄が多かったのを改め、完成度の高い量産品としたという印象でした。完全自動絞りではないので、必ずしも、Kが最高とは思いませんが、Kはたいへんバランスの良いメカニズムです。

 この後の機種になると、高機能になった分、部品点数が追加され続けています。新築でなく増改築で対応しているため、不必要に複雑なところがあり、洗練されたメカニズムの美しさという観点では魅力が薄れて行きます。しかし、これらは凡庸ながら名機として営々と生産され続けたのはご存知のとおりです。

 いずれにしろ、Kは1958年の発売です。その時代に、51,500円もするカメラは庶民のものではありません。キングに違いありません。




Kの半自動絞り

 オートタクマーレンズには、レバーが付いていて、あらかじめレンズ内の絞り込みのスプリングをチャージしておきます。オートタクマーレンズのマウントにあるピンは、このスプリングをリリースするためのものです。絞りこまれたら、露光後も次にスプリングをチャージするまでそのままです。

 このオートタクマーレンズは、Kと初期のS2のために作られました。Kは、レリーズボタンに連動してオートタクマーレンズのピンを押し込みます。指を離すと戻ってしまいます。これで、スーパータクマーレンズやSMCタクマーレンズを絞り込めるでしょうか。長年の疑問でした。
 結果は、レンズによって違うのですが、F5.6〜11ぐらいまでなら絞り込めます。初期のスーパータクマーのピンは、押し込むのに力が要りません。生産時期が新しいものは、スプリングが強化されて、押し込むのにはそれなりの力が必要です。

 重いレリーズ感になることと、小絞りは使えないことを承知した上で使う分には構いませんが、マニュアル絞りで使うのが無難です。

 でも、これって初期型のS2と全く同じじゃないですか。




操作感の改善

 作業が難航した、言い訳です。

 巻き上げレバーとカウンター周りの位置決めを徹底してチェックした上で、幕のテンションをかけたまま、フィルムのフリクッションをかけた状態でスピル・ギアの位置決めをすることでまずまずの状態になりました。ちょっと長い道のりでしたが、シャッター幕のスリット位置から始まって、必要な位置関係の条件が判ってしまうと、なんと言うことはありません。

 カウンターも巻き上げレバーをいっぱいまで巻き上げた時にカチッと言ってくれます。レリーズもスムースに押せます。機嫌を損ねて巻き上げレバーが固まってしまうこともありません。やっと、及第点の操作感になりました。

 とは云え、フィルムを入れて荷重がかかると、巻き上げの感触は、とたんに悪くなります。本来Kは、高級機種なのですから、荷重のかかる軸に軸受けを設けて改善すべきだったと思います。後継機種のように、フィルム給送関係のギアにグリスを塗りまくるというごまかしも有効なんですが、Kのプライドを傷つけることになるのでやめておきました。

 Kは慎重に組み立てないと、使い物にならない製品になってしまいます。これでは、量産品の生産性の観点からは感心しません。もっとも、高価なものになってしまっても、それはそれで、顧客もアサヒもハッピーな時代だったんでしょうね。
 ライバルがミランダやズノーだけでなく、大手がレンジファインダーから一眼レフにシフトしてくると路線を変えざる得ません。量産ということが言われたのはS2からです。




この穴は何?

 APでは、後幕のストッパーをシャッターダイアルに直結して抜き差しするピンで直接蹴っとばしていました。Kでは、間接的になっていて、シャッターダイアルを抜き差しして位置決をする突起で蹴っとばします。
 で、蹴っ飛ばされるレバーには小さな穴があいています。何か部品が付いていた跡かと悩みましたが、いちおう、機能は成立します。

 なんせ、初めてのKです。今後の宿題とすることにしました。

 終わってみて痛感するのは、ここには、滑りを良くするために油を染み込ませておくオイラーが付いていて欲しいところです。



露光ムラの克服

 テンションは高ものの1/500秒から下は、とりあえず支障ないようですが、1/1000秒の露光ムラの克服にはてまどりました。というと、こちらも言い訳モードになってしまいますね。
 シャッター精度は勘弁してもらうとして、露光ムラがあったのでは「難あり」状態です。各部の清掃と注油・拭き取りは一通り済んでも露光ムラは克服できませんでした。しかも、先幕のテンションをずいぶんと上げなければ1/1000秒は開きもしませんし、複雑な露光ムラが発生していました。
 みんな、後々のトラブルの要因と紙一重なんですが、効果のあった対処を列挙しときます。露光ムラの要因はたくさんあるでしょうから、このKには、たまたま効果があったということで、他のKには参考にならないかも知れません。

 遮光を確認しながら、スリットの重なり合いを、巻き上げ前0.5mm、巻き上げ後1.5mmぐらいまで減らしたところ、画面左端の極端な露光不足はいくぶん改善しました。しかし、完全には払拭できません。
 どうも、上記の後幕の蹴っ飛ばしのところで、ガツンとエネルギーが吸収されているようです。蹴っ飛ばしのレバーの当たり具合を加減して、コンパウンドで当たりを磨いて、潤滑油を塗布しました。気休めにしか思えませんでしたが、この露光ムラも無くなりました。
 さらに、あえてスピル・ギアと底部の連携ギアを潤滑油で濡れた状態にして1週間ぐらい当たりを出してから、再度分解して拭き取りました。画面途中の露光ムラを解消することが出来ました。

 後継機種と比べると、テンションが、まだちょっと高めに思えるのですが、これ以上の手入れは、後々のトラブルが怖いので、このへんでやめました。数ヵ月後、潤滑油がなじんでくるまで、しばらく使って経過をみて頂きたいと思います。

 あまり信頼性がないんですが、運がよければ1年は ・ ・ ・ 無理かな。イカれちゃったら、もう一度 ・ ・ ・ ということで勘弁してね。




言い忘れていました

 Kだけじゃないんですが、ピントはフィルムを巻き上げてから合わせてください。見たこと無いから判らないんですが、取扱い説明書にもそう書いてあったそうです。
 機構上、フィルムを巻き上げると、ミラーが所定位置にロックされるようになっているんです。APもS2も同じですが、ファインダースクリーンは、(フレネルレンズの真ん中に洗濯板みたいなプリズムついてはいますが)マット面で、ちょっと判りづらいですが、巻き上げ前後でピントが動くのを確認してください。

 巻き上げなんですが、確実にフィルムカウンターがカチッと進むまで巻き上げてください。2分割巻き上げは、なるべくしないほうが良いと思います。無いとは思いますが、シャッターを切った後、巻上げが出来なくなることがあるかも知れません。そういう時は、シャッターダイアルを時計回りにちょっと回してから巻き上げてみてください。

 もしかしたら、予想より露出オーバーになることがあるかも知れません。これは、まだ潤滑油で濡れているところがあるからで、時間が経って濡れた状態から適度な油っ気のある状態になると発生しなくなると思います。最後の試写では発生していませんでした。