作成:2002・11・13



おことわり:ここではライカスクリューマウントをL39マウントと省略させて頂きます

ベッサL用 L39 - Kマウントアダプター

コシナAF75-200mmF4.5


長年の夢がかないました。


 ライカスクリュー(L39)マウント-ニコンFマウントアダプターというのは市販されていますが、Kマウントレンズが付けられるものは市販されていないようです。そこで、L39-Kマウントアダプターを作りました。

 なんで、こんなものが欲しいのかというと、貧乏っちい私は、ウルトラワイドヘリアーとケンコー製ピンホールレンズ以外にベッサLに付けるレンズを持っていないからです。これで、Kマウントレンズだけでなく、Kアダプターを介してタクマーレンズを付けることが出来るようになります ・ ・ ・ でも、切ないことに、ピントあわせができませんから、くっつくだけです ^^;

 そこで、この組み合わせです。ボディもレンズもコシナ純正で決まります。コシナAF75-200mmF4.5です。L39マウントのボディに、AF機能のある交換レンズを付けるのは、マウントアダプターの楽しみの定番です ・ ・ ・ ちょっとチープでバランスのがいい ・ ・ ・ で、試写してみました。

 







 このコシナAF75-200mmF4.5は、松坂屋カメラで7、8年前にデッドストック品(レリーズ連動スイッチは欠品)を1500円で買ったものです。ファインダーは、「ジャカルタ下町散策記サムスルさんからの頂き物で、ヤシカエレクトロ35用のコンバージョンレンズのものです。40mm/60mmのフレームがあり、ウルトラワイドヘリアー用のファインダーより相性が良いです。

 AF75-200mmF4.5は2種類あって、これはモーターの動力を、パワーズームとAF駆動に、スイッチで切り替えることの出来る旧型のほうです。AFは位相差検出方式で、レンズに電池を搭載し、合焦音もインジケータもレンズ側に付いています。

 AF能力は、専用レンズを付けたME-Fと同じようなものですが、合焦できない場合は、ME-Fのようにいつまでも悩まず、無限遠になっておしまいです。
 今回の試写結果で判るように、描写性能はちょっと物足りなく思う時があります。ワイド側(といっても75mm)ではボケがうるさいときがあります。また、テレ側で開放だと周辺光量の落ち方が気になることがあるので、今回の撮影ではあえて開放は避けました。

 







L39 - Kマウントアダプターの製作


L39 - Kマウントアダプターの概要
 もちろん作ったと言っても、私は機械加工や表面処理は出来ないので、「ME復活応援サイト」のトムさんとDXFファイル(Data eXchange Format: CAD用のベクタデータ交換フォーマット)をメールでやり取りして、トムさんのお付き合いのある業者に加工して頂きました。価格交渉にご尽力頂いていますので、いくら掛かったかはヤボなこと、ナイショにさせて頂きます。
細かなところでは、成功した工夫もありますが、反省すべき点や改善の余地もありました (^.^)v。

灰色の部分が、中間リングから移したKマウントです。
製作した2つのリングと組み立てた状態を示します。

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L39マウント基部は3本のロックビス(イモネジ)で、Kマウントを付けたリングを締めてありますので、レンズの指標が上に来るよう位置決めが簡単に出来ますし、固定もしっかりしており、満足しています。
L39マウント基部は共通にして、リング部分だけを新たに作れば、別な一眼レフマウントのアダプターにすることが出来ます。ただし、このロックビスの手持ちはもう無いので、もう一個という訳には行きません。

何のオマケで頂いたの忘れましたがジャンクの#3中間リング(非オートです)のKマウントをそのまま移しました。カメラボディやテレコンのKマウントだと、位置決めのロックピンがすっきり納まりません。
本当はKマウントをM2ビスでリングに固定したかったのですが、加工コストがかさむのと、M2ビスは市販のものが使えず、ビスの頭をKマウントの座ぐり穴にあわせて加工しなければならないので断念しました。中間リングと同じくM1.4のビス3本で固定しています。

私の図示ミスから、フランジバック45.7mmと(0.25mmオーバー)になってしまいました。面取りをC0.5としたのですが、これでは不足で二つのリングがぴったりくっつきません。これは、サンドペーパーで修正してコンパウンドで摺り合わせて±0.05mm以内になりました。

つまらないことですが、中間リングのロックピンのボタンはぐらついていたのですが、このアダプターではぐらつきません。穴径をぴちぴちにして、リングを0.5mm厚く作ったからです。

材料は5000系アルミ合金の優良児A5052です。単に黒アルマイト処理の予定だったのですが、外観面は、ブラスト処理をして頂いた上に黒アルマイト仕上げが施されていて、深緑色の黒梨地で、その重量感・高級感にはびっくりです。


そ の 他
 L39マウントのボディに、AF機能のある交換レンズを付ける場合、普通はニコンFマウント用のコシナ(AF28-70mmF3.5-4.8、AF 75-200mmF4.5)、タムロン(AF 70-210mmF4[IF])を使います。生産数が少ないのですが、シグマ(AF 55-200mmF4.5)もニコンFマウントのものがあるでしょう。L39-Kマウントアダプターなら、それら加えてチノン(AFオートチノンズームMC35-70mmF3.3-4.5)やリコー(AFリケノン50mmF2)も使用出来ます。

 私は、L39マウントのレンジファインダーのカメラは不勉強で、よくわかりませんが、マウントの基部の外径が61mmのこのアダプターが付くのは、元が一眼レフのベッサLとRならではで、他の機種では低速シャッターダイアルやファインダー窓などが干渉するなどの問題が生ずるのではないかと思います。
 Kマウントの絞込みレバーのスペースはフランジ面から12〜13mm見込む必要があります。レンズ指標が上になるよう位置決めできる構造にしました。その上さらにマウントの基部を絞った形状にするのは、コストがかさむので採用しませんでした。

 そもそも、機械製図なんて描いたことのない私が、たった1個だけこんなものを作ろうと思うこと自体が蛮行で大それたことなのです。しかし、創意工夫と、優先順位を吟味してコストを抑えるのも物作りの真髄 ・ ・ ・ それってどんな仕事でも同じですね ・ ・ ・ まだ作りたいものがあります。

 試写をして若干の問題が判りました。内面反射対策を忘れていました。もちろんネジマウント部分の内側に植毛紙を貼りました。撮影するときに画角は想像つくのですが、一眼レフに慣れきっているのでパララックスは予想できず、てこずってしまいました。


 更新日 :2002・11・15.